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 昔から、「とにかく戦争はあかんやろ」という思いが強かった。ちょうどイラク戦争と第3子出産が重なったことがきっかけとなり、数年後に「楠見子連れ9条の会」を立ち上げた。保育所で知り合ったお母さんたちと一緒に、喫茶店で小さな学習会を開いたり、講演会を企画したりして7年が経つ。

 最近は、集団的自衛権や安全保障法制がせっぱつまった関心ごとである。日本の若者が戦場へ送られることになり、テロに巻き込まれる危険性も高まる。わざわざ他国の戦争に参加するための集団的自衛権は使えないままでいいではないか。そんな話をしてきた。

 安倍晋三首相は、多くの学者や与党推薦の参考人、歴代の内閣法制局長官までが「違憲」としている指摘に耳を傾けないばかりか、反対派への反論も放棄しているように見える。多数決=民主主義ではないはずだ。そもそも議論することに価値を置いていないのだとしたら、戦争を避けるための外交にも期待できないだろうから、そちらの方が不安になる。

 振り返れば、イラク戦争の開戦理由とされた大量破壊兵器は、結局出てこなかった。そして、日本政府は誤った先制攻撃を支持したことへの検証を今も行っていない。まともに反省できない組織は同じことを繰り返すのではないだろうか。そんな政府に、「すべての状況を総合して客観的、合理的に判断する」と言われても、その判断を信じろと言う方が無理というものである。子どもがやらかす悪さなら、何度でも何度でも信じてみるしかないけれど。

 このまま進めば、軍事費のために消費税は上がり、社会保障費は削減され、貧しい若者から軍隊へ行くしかない、そんな国になるのではないか。たとえわが子が戦場に行かなかったとしても、そういう社会に生きる子どもたちは幸せなのだろうか?

 決定に参加できないまま結果だけを背負わされる子どもたちのためにも、大人はしっかりしないといけない。子どもを育てるということは、子どもが育つ社会を育てることだと思うから、無関心ではいられない。 

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(ニュース和歌山2015年7月18日号掲載)