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 小中学生のころは少年野球やバスケットボールと、活発に運動するスポーツ少年だった。中2の後半から原因不明の体幹機能障害が出始め、本人の意識しないまま手足が動く不随意運動と発声障害になった。限られた運動能力でできるスポーツが、陸上競技のやり投げに似たジャベリックスローと立ち幅跳びだった。

 競技との出合いは20歳の時。県こども障害者相談センターで過ごした3年間で、フライングディスクや卓球など様々なスポーツを体験し、その中に陸上競技があった。

 全国障害者スポーツ大会は、2012年の岐阜大会が立ち幅跳びとソフトボール投げで優勝。ジャベリックスローに転向した昨年の長崎大会では19㍍19㌢、立ち幅跳びは1㍍72㌢と両方で金メダルを獲った。「身体は思うように動きませんが、小さいころに経験したスポーツの名残か、跳んだり投げたりする競技が一番やりやすい。大舞台でのメダルは自信と生きがいにつながる」と笑顔を見せる。

 練習では、より遠くへ投げられるよう、手を離すタイミングや投げる角度を研究し、「安定して16、17㍍は飛びますが、全国大会は20㍍以上目指したい」。立ち幅跳びも繰り返し、着地時の体勢の維持など、基本動作を身体にたたき込む。

 練習を見守る鈴木孝志監督は「いざ競技になると集中力を発揮して、正確な動作で障害を感じさせない。秋のわかやま大会でも十分金メダルを狙える」とエールを贈っている。

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 全国障害者スポーツ大会「紀の国わかやま大会」(10月24日〜26日)に出場する県出身の選手やチームを土曜号で紹介します。

(ニュース和歌山2015年8月22日号掲載)