ワカヤマ・ブルー。初めてこの写真を展示した時、多くの人が「これはどこで撮影したの?」と尋ねてきました。場所を答えると、誰もが驚いていました。私にとって、和歌山を象徴するクラシックな色と言えば「ブルー」です。深い海の青、かすみがかった山の緑青、抜けるような快晴の空色。和歌山の海、山、空、それぞれの青が幾重にも重なり、濃い青から淡い青へとブルーの美しいグラデーションを描いています。紀南へ行けば、伝統工芸の藍染めのインディゴブルーにも出合います。山から川へと流れ出る水は透き通るほどの水色、太古の岩盤から湧き出る温泉には乳白色のミルキーブルーと熊野川には素晴らしい青の景色が広がっています。さて、この写真。実は和歌山市を流れる土入川を撮影しました。民家が午後の西日を受け、空と雲とともに川面に映り込んでいます。市街地でも「ワカヤマ・ブルー」は見つけられます。

※ニュース和歌山本紙、第2・4水曜号掲載。次回は10月28日号です。

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サイモン・ワーン(Simon Wearne)

オーストラリア出身の写真家、映像ジャーナリスト。2008年に来日し、和歌山大学観光学部の特任助教を務めるかたわら、太地町の捕鯨文化をユネスコの産業遺産に登録するため、文化財の独自研究と調査を進めている。

(ニュース和歌山2015年10月14日号掲載)