紀の川市桃山町、明治時代に建てられた大地主の屋敷。その一角にある米蔵を改装した「自然薯(じねんじょ)茶屋からびな」はあす27日で開店5年目を迎える。店長の野崎俊行さん(42)が自ら無農薬で育てた自然薯を材料に、日本そばや丼などを提供。関西一円から訪れる健康志向の客が絶えない人気店だ。

古い米蔵 自ら改装

からびな店主 身長180㌢。がっちりとした体格を生かし、自然薯をすり鉢とすりこぎ棒で力強くする。自慢の自然薯を練り込んだ日本そばは手打ち。このほか、とろろ丼、自然薯スイーツなどメニューは多彩だ。

 「日本古来のヤマノイモ、自然薯は皮に風味があるので、細かい根を火であぶってから洗い、皮ごとすります。そばにはそのまま、ごはんものには2種類のかつおぶしと昆布ベースのだしで割ったものをたっぷりと。皆さん、『スーパーで売っている長芋とはねばりが違う』と驚かれます」

 和歌山北高校時代はラグビー部に所属。卒業後は実業団の近鉄で7年間プレーした。その後、父と同じ大工を始めたが、選手時代に痛めたひざの状態が30代半ばに悪化。そのころ和歌浦で「和イタリアンからびな」を営む北高時代の同級生に「自然薯栽培を手伝わないか」と誘われた。

 「最初は大工のかたわら、畑に顔を出していましたが、からびな2号店として自然薯専門店を開くことになり、2度目の転職を決めました。この米蔵は雰囲気をそのまま生かせるよう、自分でリフォームしました。テーブルにイス、流木を利用した照明も手作りです。大工としての最後の仕事がこの店でしたね」

自家製豆腐は新食感

からびな料理 今も営業時間の前後には畑へ出向く。丹精込めた自然薯が味わえるメニュー。一番人気は、麦とろ飯はじめ4種から選べるミニ丼、ミニとろろそば、自然薯豆腐、季節の天ぷらなど6品がセットになった日替わりプレートだ。

 「土日には1日70~80食出ます。自然薯豆腐は新しい食感で、サラダのドレッシングは自家製ぽん酢に自然薯を加えたものです。天ぷらに使う魚介類、野菜もできる限り地元産。大阪や神戸から来られる方に、和歌山の味を堪能してもらいたいですから」

 選手時代も料理人になった今も、〝ねばり〟が身上。間もなく11月、自然薯は収穫の季節を迎える。

 

自然薯茶屋からびな…紀の川市桃山町調月331(桃源の郷宮折内)。11時~16時。水曜休み(祝日の場合は翌木曜)。☎0736・79・3559。

(2016年10月26日号掲載)