海の妖怪

出没地域:那智勝浦町

怖さ:3

 かつて日本で行われた補陀落渡海は、観世音が住むとされる補陀落を目指す船に行者を乗せ、伴走船が曳航し、沖で綱を切って見送る捨身行。行者が戻ってくるのを防ぐため、108の石を行者の身体に巻き付けたこともあったとされる。和歌山でも那智勝浦町で868年〜1722年の間に20回実施されたとの記録がある。行者の一人、金光坊は生への執着が強く、船をぬけ出し、浜に打ち上げられた。しかし、すぐに捕らえられ、再び海に投げ込まれた。そんな金光坊の怨霊がヨロリ(クロシビカマス)になったといわれ、地元の人はこの魚をあまり食べないという。

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 妖怪をこよなく愛する和歌山市の漫画家、マエオカテツヤさんが毎週土曜日、妖しの世界に誘います。

(ニュース和歌山/2017年9月2日更新)