虚空蔵の滝とも呼び、「虚空蔵」が「黒蔵」に転じたとされる。江戸期の書籍『紀伊国名所図会』に「生石嶺 頂上に笠石といふ一二三間許の巨岩あり…(中略)…雨後には山上より雨水湊り下りて、千丈の瀑布懸り、山岳のため震動す」とあり、笠石の下に流れ落ちる滝が2つ描かれ、そのひとつに「黒蔵滝」と記されている。地誌書『紀伊続風土記』にも「黒蔵滝、高さ二五間許り」と書かれ、笠石は「空海護摩修行のありし地なりとて、大師の小堂あり」とある。

 このことから、弘法大師が修行の地と選び、その後、多くの僧がこの滝や生石の岩山で修行したと思われる。図会にも、はっきり2段に折れ曲がって落ちる姿が描かれ、古来より信仰のシンボルであったことが窺える。

(ニュース和歌山/2017年12月9日更新)

大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。