海禅院の石灯ろう再建
「妹背山を心のふるさとに」
和歌山市和歌浦中の妹背山にある徳川家ゆかりの海禅院で、片方が倒壊し、欠けたままになっていた多宝塔前の石灯ろうが修復され、15日、落成・開眼式が開かれた。修復に向け絵はがきを販売してきた同市の画家、中尾安希さんら関係者約20人が出席。同院住職で、本寺の報恩寺院代を務める松本惠昌さんの読経で新しい灯ろうに魂を入れる儀式を行った。
海禅院は初代紀州藩主徳川頼宣の母お万の方が徳川家康の33回忌に法華経を書写した経石を妹背山に納め、小堂を建てたのに始まる。お万の方の没後、頼宣が多宝塔に改修し、拝殿、唐門を付設した。多宝塔は老朽化がひどかったため1994年から3年かけ解体修理が行われたが、倒壊し左側だけになっていた石灯ろうはそのままだった。
和歌浦を描き続けている中尾さんは石灯ろうを元の姿に戻したいと、5年前から絵はがきを制作、収益金を再建費に当てる運動を始めた。また、一昨年4月に同院の住職に就任した松本さんは「和歌山の人にとって歴史上大切な場所である妹背山を市民の憩いの場になるよう復興したい」と調査を進めていた。その中で中尾さんの運動を知り、海禅院全体の修復や妹背山周辺の整備に向け「妹背山護持顕彰会」を発足させた。
再建された右側の石灯ろうは高さ2メートル40センチで白御影石製。残っていた左側の灯ろうを参考に復元した。中尾さんは「たった一人で始めた石灯ろう再建運動ですが、多くの人の協力を得て実を結びました。こんなに早く実現して感無量です」と喜んでいた。
顕彰会では今後、妹背山にかかる三段橋を渡ったところにあるサンスクリット語で書かれた石碑をまつる堂の建設や、かつて多宝塔にあった拝殿や唐門の復興に取り組む予定。松本さんは「宗派にとらわれず心のふるさととして地元の人々に親しまれる場にしていきたい。今回の石灯ろう落成を礎とし、次代を担う人たちの糧となるような活動につながっていけばうれしい」と話していた。
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多宝塔前で行われた石灯ろうの落成・開眼式)
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