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| 様々なタッチの絵が物語りを盛り上げる |
県老人クラブ連合会(出山為之進会長)が、昨春発行した『かたりつぐ わかやまの民話』から16話を選び紙芝居を制作した。県内の各老人クラブに貸し出し、地域で子どもたちとの交流に活用してもらうのがねらいで、わかやま絵本の会や小学校教諭らの協力で絵や文をまとめた。同連合会活動推進員の雑賀圭司さんは「紙芝居を子どもたちに語りながら、交流を深めていってもらいたい」と期待している。
紙芝居は和歌山市の民話「扇之芝の狸」や貴志川町の「狐のしかえし」、下津町の「橘本の天狗」など16話。民話集に収録されている県内50市町村の民話310話から、「場面展開にメリハリがあり、紙芝居にしておもしろいもの」(松下千恵・わかやま絵本の会代表)を選んだ。昔話や伝説、世間話と内容はバラエティに富んでおり、方言や地名が登場、地域性がよく出た作品に仕上がっている。
制作に当たり、連合会理事や和歌山市内の小学校教諭、県立図書館の須山高明資料課長や松下さんらが制作委員会を結成。絵は同絵本の会の13人がそれぞれ担当、物語に登場する土地に取材するなどしながら、思い思いのタッチで描いた。語りの文章は、制作委員会のメンバーが12〜16枚にまとめられた絵の展開に合うよう構成を考え、実際に上演しながら細部を詰めた。
同連合会は「地域を豊かにする社会活動」として、地域文化や民芸の伝承や若い世代との交流に取り組んでいる。昨年、35周年を記念し、郷土の民話を記録し、後世に伝えようと『かたりつぐ わかやまの民話』の編さんに取り組んだ。1999年4月から、会員が聞き取り調査を進めてきたが、「思いのほか、民話を伝え聞いて覚えている人が少なかった」と雑賀さん。様々な資料を活用しながら1,500話を収集し、そこから地域に密着した話を厳選した。
民話集は県内の小中高校や図書館などに寄贈したが、さらに、子どもたちとの交流活動に生かしたいと紙芝居の制作を企画。昨年5月から取りかかり、ほぼ完成している。4月から県内各老人クラブに貸し出し、幼稚園や保育園、小学校、地域の催しで演じてもらう。須山課長は「昔話は、子どものころにおじいさん、おばあさんに繰り返し聞かされ、気持ちの中に残ってゆくもの。土地土地に伝わった話は郷土愛を育てることにつながる」と話す。
今後は、各地域の老人クラブ代表者を集め、作品ごとに語り方や絵をめくるときのアクションの付け方など演じ方の講習会も計画している。松下さんは「語る人が物語を暗記するくらい読み、自分のものにしてほしい。また、物語の背景や歴史、土地柄についても、現地を見学して勉強しておくと、気持ちの入り方が違い、表現に厚みが出る」とアドバイスする。
雑賀さんは「予想以上のできばえに喜んでいる。子どもたちの前でお年寄りが実際に演じ、心を通わせ合えるのがいい。これを機に、各地域でそれぞれ伝わる民話を紙芝居にして広めてくれるとうれしい」と期待を寄せている。 |