日常の思い 素直に
中谷晴香さん、東野真夕さん
相次ぎ詩集出版
          
 若い女性の感性を生かした詩集の出版が相次いでいる。和歌山市の中学生、中谷晴香さん(15)が『会いたくなったらいつでも会える』(文芸社)、粉河町出身の大学生、東野真夕さん(20)が『約束』(青幻舎)をそれぞれ出版。2人とも、日常生活を通して生きることへの思いを等身大の言葉で素直につづっており、注目を浴びている。

            
友達への感謝を表現
         
中谷晴香さん 和歌山市立河北中学校3年生の中谷晴香さん(15)の詩集『会いたくなったらいつでも会える』は7月、文芸社(東京)から出版する。思春期の悩みや友達への感謝の気持ちを、飾らない言葉でつづった33編をまとめた。
 詩を書き出したのは小学5年生ごろ。最初はイラストに言葉を添えていたが、次第に言葉が先になり、いつの間にか詩になっていた。
 最近は、友達と詩を見せ合い批評し合っていたが、昨年11月、20数編を文芸社に投稿。大みそかに「本にしませんか」と誘いが返ってきた。
 『会いたくなったら〜』には、投稿した詩に10数編を加え、さらに表紙絵と挿絵も自分で描いた。ペンネームは母親の旧姓を取り、「嘉成(かなり)晴香」とした。
 詩は友達へのメッセージを込めたものが多い。中学1年の時、友達に誤解され、もやもやした気持ちで日々を過ごしていた。そんな時、「晴香は晴香やん」と認めてくれた親友の言葉に救われ、以来、感謝の気持ちを表現するようになった。
 また、「忙しいことに忙しがっていたら いつも見ているつもりのものが 本当は見えていないことに気付く ときどきこんな自分に ハッとして立ち止まる」(『謝罪』)。そんな一瞬の心の動きを、「日の光」「小さくなった消しゴム」「さびついた髪どめ」など、何気ない日常の景色の中で巧みにとらえる。
 タイトルになった『会いたくなったらいつでも会える』は「相手の欠点もどんどん言える 相手の良さも認められる あなたと一緒に大きくなれる」と友達への思いを素直に書き上げた。
 晴香さんに小さいころから読み聞かせをしていた父親の智樹さん(46)は「投稿していたことも知らず、本の話がきた時はびっくりしました。本に親しむ習慣があり、想像力がついていたのかもしれません」。
 晴香さんは「詩を書くことは心の支え。悲しくてもうれしくても書かずにはいられない。いろんな年代の人に読んで欲しい」と話している。
 800円(税別)。宮井平安堂など主要書店で取り扱う。問い合わせは文芸社(東京03・5369・2299)。

写真=中谷晴香さん)

        
「生きること」問う
        
 「生きるということは 夏の西日のように 冬の朝日のように」「絡み合った 言葉の中に 小さく叫んだ 君の声」ーー。
東野真夕さん  粉河町出身の東野真夕さん(20)が、手書きの詩と写真を収めた『約束』(青幻舎)を5月に出版した。日常生活から感じたことをつづったもので、東野さんは「自分自身の心と向き合い、『生きること』をメーンに書きました。同世代の人に1番読んでもらいたい」と話している。
 東野さんは智辯和歌山高校を卒業し、現在、京都府立大学福祉社会学部3年生。小さいころから文を書いたり絵を描くのが好きで、高校生になると、スケッチブックに詩を書き、それにイラストや写真を添えた本を自作していた。
 大学に入ってすぐ、スケッチブック、4、5冊を青幻舎(京都)に持ち込んだところ、編集者の目にとまった。「もうちょっと詩と写真をためた方がいい」とアドバイスを受け、その後2年間、詩作を続けてきた。写真はインスタントカメラで、落ち葉、ブランコ、電線にとまる鳥など、日常の何気ない風景を撮影。これと詩を組み合わせて1冊にした。
 「思い出の中で 突然、泣き始める 君は、いつも僕の痛み」「一年経って 僕が見た君は 信念背負って 焦ってた」など、詩の中に多く出てくる「君」「僕」との表現。1人でいる時の「自分」と、みんなの前でいる「自分」とを対比し想定したもので、「自分の心を見つめて書いていますが、恋愛の情景を通じて書いたものもあります。自由に読み、それぞれに感じてもらえればうれしい」と話している。
 文庫判。950円(税別)。宮井平安堂などで取り扱っている。
 問い合わせは青幻舎(京都075・252・6766)。 

写真=東野真夕さん)