和歌山公園動物園の子ジカ
那須さん宅ですくすく
母ジカの育児拒否で
ミルクを飲むシカ 和歌山城の和歌山公園動物園で5月20日に生まれたニホンジカの赤ちゃんが、母ジカが育児を拒否したため、和歌山市吹上の那須功さん(71)、徳子さん(70)宅で育てられている。同園が保育することを検討したが、夜間の授乳が課題となり、同園の寺尾文孝主査が知人で動物好きの那須さん夫妻に依頼した。寺尾主査は「子ジカの命を救うことを1番にした選択。シカの人工保育は難しくうまくいった例は少ないが、すくすく育っています」と話している。
 子ジカは5月20日正午ごろ生まれた。しかし、直後から母ジカは子ジカに見向きもせず、置き去りにしたまま。放置しておくとほかのシカに攻撃されるおそれがあるため、母ジカと子ジカを同じ仕切りの中に入れ様子を見たが、乳を飲もうとする子ジカに向かって、母ジカは足を地面に打ちつけ威嚇する始末。「とても見ていられませんでした。この時点で、人工保育1本で行こうと決めました」と寺尾さん。
 しかし課題は夜間の世話。夕方で閉園するため、夜中にミルクを与えることはできない。そこで寺尾さんが那須さん夫妻に打診したところ、快く了承。夫妻がその日のうちに連れ帰った。
 徳子さんは「飼育マニュアルもないし、最初の1週間は急に体調が悪くならないかといつも心配でした」。しかし、犬用のミルクを与えたり、排便の手伝いをするなど一生懸命世話を焼いたかいがあって、すくすく元気に成長。1・8キロだった体重も今は4キロになり、ぴょんぴょん跳びはねるほどだ。「ミューミュー」と愛くるしい声で鳴くことから、夫妻は子ジカを「ミュー」と名付けた。
 ミューは夫妻が名前を呼ぶとすり寄り、まるで本当の親のようになついている。徳子さんは「シカは初めて育てますが朝までぐっすり寝てくれるし、明るく元気。とてもかわいい」と話している。