ぶんだら再生の秘策?
アップテンポに編曲
若者の参加増ねらう

 和歌山市の夏を彩る紀州おどり「ぶんだら節」。34回目を迎える今年は、従来の民謡調に加え、アップテンポにアレンジした「ぶんだら節21」が披露される。和歌山の夏の踊りとして定着しているものの、最近の参加人数はピーク時の3分の1程度しかなく、「テンポが遅く、見ていておもしろくない」と批判は多い。今年も街頭踊りのメーンは従来の民謡調だが、ニューバージョンで踊る連も10を超える。低調感が否めない「ぶんだら節」が、これをきっかけに息を吹き返してゆくか。

写真=定着している街頭踊り)


      
 ぶんだら節は紀伊国屋文左衛門が荒海に乗り出す勇壮な姿をイメージした民謡で、和歌山市政80周年を記念し1969年に誕生した。初年度は和歌山城砂の丸広場の輪踊りだけで参加者は2000人程度だったが、翌年から砂の丸をゴールにした街頭踊りとなり、参加者も徐々に増加。6回目の74年に初めて1万人となり、83年には2万1000人を超えた。
 しかし、87年になると、参加者は前年の半数以下の8800人に激減。市観光振興室によると、「当時は自治振興課がぶんだら節の担当で、各地域の自治会に出場を要請していた。担当課が変わったことで、自治会の参加が一気に減ったのではないか」とみる。
 また、近年は不況の影響で企業単位の大型参加が減少傾向にあり、それも人数減に拍車をかけている。同室は「企業の参加が減ったことで総人数は減りました。ですが、最近は中小連が徐々に増え、減少傾向に歯止めがかかってきています」と話す。
新ぶんだら節用に踊りを考案 だが、和歌山市には以前から、「動員されて踊っているのが見え見えで、参加者の目が死んでいる」「踊っている人も見ている人も、ぜんぜん楽しそうじゃない」といった意見が寄せられていた。市観光振興室も「従来の民謡調のぶんだらはスローテンポで年配者が中心。賑やかさ、華やかさが少ない」ことに頭を悩ませていた。
 他都市の例を見ると、11回目を迎えた札幌の「よさこいソーラン祭り」は今年も4万人以上が参加した。高知のよさこい祭りと北海道のソーラン節をミックスした新しい祭り。若者が考えた自由で独創的な踊りが人気を呼び、全国から参加者が集まるほどだ。
 市は、よさこいソーランのように若者が参加しやすいよう「リズムやテンポを変えたニューバージョンが必要」と考え、昨年、和歌山出身デュオのウインズに編曲を依頼。完成したのが「ぶんだら節21」だ。
 アップテンポのニューバージョンは、実は昨年のぶんだら前に完成していた。しかし、CDができたのは7月だったため、街頭踊りに出場する連に周知するには余裕がなかったことから、砂の丸の輪踊りで2グループが披露するにとどまった。それでもニューバージョンを見た中から、「あれなら踊りたい」との声が寄せられた。
 今年の参加予定は67連7470人。官庁や企業、各種団体などが目立ち、純粋に踊りを楽しむためと見られる連は数えるほどしかなさそうだ。
 ニューバージョンの登場で、沈滞ムードを吹き飛ばし、「ぶんだら節」が力強い祭りに生まれ変わることができるだろうか。

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 ぶんだら節は8月3日(土)午後6時から。ぶんだら節21をウインズが演奏した後、ラップバージョンでヒップホップグループIN THE GROOVEがダンスを披露。その後、県庁連を皮切りに55連が従来の民謡調で進み、8時半ごろニューバージョンに切り替えて和歌山シティバレエ連を先頭に踊る。同時に西の丸広場の輪踊りもニューバージョンを流し、浜友連などが中心に踊りを楽しむ。
 問い合わせは市観光振興室(073・435・1234)。

写真=新ぶんだら節用に踊りを考案)

   

「今までの方が」「若者向け歓迎」

    
 20年以上ぶんだら節に参加し続けている「必殺!踊り人」の有北精吾代表…80年代初めは向陽OB連として500人ぐらいで参加したこともあります。和歌山の祭りの季節を盛り上げて、リオのカーニバルみたいにしたいと思っていましたが、これだけやってならないのだから、無理かな。今回ニューバージョンに出るのは、遅い時間しか人数が集まらないため。若い人にはいいかも知れないが、個人的には今までの曲の方がいい。でも祭りは参加してこそ楽しめる。見てるだけならオモロナイで。

 3年前に「ぶんだら節改革案」を市長に投書した人…小樽の潮祭りを見たとき、みんな楽しそうに踊っていて、思わず最後までいてしまった。ぶんだら節にも参加したことがありますが、あまり楽しくなかった。踊る人も見る人も楽しくなる祭りに変えてほしいと思い、「ぶんだら節を編曲したり、別の音楽でも参加できるようにする」「鳴り物は必ず持つ」「スピーカーを積んだ車をチームごとに走らせて、それぞれが踊る音楽を流す」などを提案しました。

 数年前からぶんだら参加を取りやめた企業関係者…取りやめた理由は不況による経営状況の悪化。動員をかけていましたが、参加は減っていました。不参加に対して社員から不満があがったりは特にありませんでした。個人レベルでは友人と参加したりはしているようですが…。

 和歌山シティバレエ講師の1人中沼洋子さん…これまでのぶんだら節は長年続いてきたものなので大事にしたいが、踊る方も観客もリズムがとれるような、若い人向けのものがほしいと思っていました。新しいバージョンは各連で振り付けが違うので、それぞれが祭りを盛り上げようと工夫を凝らしてくると思います。その力があわさって祭りが最高潮に達するのが理想ですね。やはり熱気がほしいです。年1回の祭りをやはり楽しみにしていますし、観光客を呼べるような形に持っていってほしいと思います。

 西浜中学校同窓会「浜友連」で毎年出場している土山憲一郎さん…ぶんだら節は誰でも気軽に踊れるが、祭り自体はひと昔前と比べれば盛り上がりに欠ける。最近は、毎年参加する常連と、見向きもしない人に2極化している。ニューバージョンは見向きもしなかった人の興味を引く方法として意味はある。踊りを通じて盛り上がりをつくり、不景気な雰囲気をぬぐうのは良いこと。人の心が明るくなるなら、形はどうでもいいと思います。