ギンナン豆腐を世界へ
貴志川町の田中治郎さん
ごま豆腐ヒントに開発
        
ギンナン活用で磯焼け防止をめざす田中さん 茶碗蒸し、がんもどき、焼き鳥などの具として“名脇役”的存在のギンナンを材料に使った豆腐を、貴志川町丸栖の田中治郎さんが発案、和歌山市園部のナカシタトウフの協力を得て開発に成功した。運輸会社を経営する田中さん、料理経験や食に関する知識は全くなかったが、ひらめきから生まれた新豆腐を広めようと、有限会社「ギンナン堂総本舗」を2003年2月に立ち上げ、製造方法の特許を出願。田中さんは「健康食品として海外でも知られる豆腐に便乗し、ギンナン豆腐を世界に広めたい」と意気込んでいる。

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 豆乳、苦汁(にがり)と、ペースト状にしたギンナンを材料につくるギンナン豆腐。舌触り、のどごしは普通の豆腐と変わりないが、味にコクがあるのが特徴だ。
 ギンナン豆腐を思いついたのは1999年。以前から環境問題、特に「海の砂漠化」と呼ばれる磯焼けに関心があった田中さんは、落葉樹の葉に含まれる成分が磯焼けを抑えることから、「落葉樹のイチョウは道路沿いに植えられるなど公害に強い。たくさん植えることで、磯焼け防止に役立てたい」と考えていた。
 イチョウから採れるギンナンの需要が高まれば、イチョウの植林増が期待される。しかし、ギンナンには独特の臭いがあること、殻を割り、さらに薄皮を取らなければならず面倒なため、調理を敬遠されがちでレシピは少ない。新たな利用法を考えていた時、高野山の特産品ごま豆腐にヒントを得てひらめいたのがギンナン豆腐だった。
 ただし、当初は苦汁を入れても固まらず、作業は難航した。そこで昨年秋、納豆やゴマ、抹茶などを入れた豆腐を製造している和歌山市園部のナカシタトウフに相談。同社の前田宗治専務は「ギンナンの実をペースト状にし、分量に気を付ければできると思いました」。ギンナンの味が目立ちすぎず、豆腐の味も楽しめる微妙なバランスに配慮し、試作品は完成した。「初めて口にしたギンナン豆腐は、イメージしていた以上の味でした」と田中さん。前田専務も「ほのかにギンナンの香りがして、おいしい」と強調する。
 主婦を対象に実施した試食会でも好評を得た。また、1人の主婦から、「パンに入れたら?」との提案があり、試作したところ、「もちもち感が出ておいしい」(ギンナン堂総本舗専務、吉原宏さん)とこれまた大成功。
 ギンナン豆腐はナカシタトウフと商品提携する豆華吉備店と5月28日オープンの岩出店で取り扱っている。また、貴志川町観光物産センターで豆腐とパンを販売中。田中さんは「イチョウの植林とギンナンの消費をリンクさせてゆきたい」と話している。

写真=ギンナン活用で磯焼け防止をめざす田中さん=中央)