ライブ!ユニバース
世界各地から日食中継
ネット活用で総務大臣賞
     
        
 月の陰に入ることで太陽が見えなくなる「日食」。皆既日食や金環日食があるたび、世界各地からインターネットで中継してきた「ライブ!ユニバース」が第6回インターネット活用教育実践コンクールで総務大臣賞に輝いた。本拠は東京だが、会長を和歌山大学の尾久土正己教授が務める。これまで日食を中心に、しし座流星群など21回にわたり世界各地から中継、学校教育現場での利用や、テレビへの映像配信といった活動が評価された。尾久土会長は「世界でも継続して日食を中継しているのはうちだけだが、公の場で評価されたのは初めて」と喜んでいる。

         
 ライブ!ユニバースは、1997年にモンゴル、シベリアで観測できた皆既日食を中継するため天文関係者や日食ファン、ネット中継の技術者、放送関係者らで結成した中継チームが母体。以来、「ライブ!エクリプス/レオニズ実行委」として、日食や月食、流星群があるたび実行委を組織し、南米・カリブ海の皆既日食、マレーシア金環日食、しし座流星群、皆既月食など、日食を中心にネットで中継してきた。
 実行委形式で5年間活動した後、恒常的に活動する基盤を作ろうと、2002年6月の太平洋金環日食の中継から天文や宇宙科学に関する様々な現象、イベントをネットワークを通じて世界に紹介する「ライブ!ユニバース」を発足させた。会員は約30人だが、中継時は100人から200人のチームを組織する。
 01年はジンバブエから日食をバックにジャズライブを中継し、02年はボツワナとオーストラリアからの映像を東京の小学校の授業に活用、また、テレビ局にも配信した。03年には世界で初めて南極から中継している。毎回、中継の2、3カ月後には報告会を開催し、次の中継に備えている。
 みさと天文台長時代から実行委を率いてきた尾久土会長は当初、東京の中継センターなどでかかわっているだけだった。「日食はできれば見ないでおこうと思っていました」。というのも、皆既日食があるのは年1回程度で、しかも見られるのは地球上の限られた地点。「場所、日時は太陽に決められて変更できない。自分の土地で見られるのは3、400年に1度だけ。見たければ、そこにいくしかない究極の海外旅行」。しかも、日食を見たことがある人を大勢知っているが、「みんな1度見てしまうと、また見たくなる。数分か、短ければわずか1秒しかない日食のために仕事をなげうって出かけてしまう“日食病”にかかってしまう」からだ。
 だが、中継にかかわっているうち、どうしても見たくなり、98年にマレーシアに出かけ金環日食に感動。「皆既はもっとすごい」と言われ、99年にドイツに出かけたが雨に降られて見ることができず、2001年にジンバブエで初めて目にした。
 「月の陰に入り、100%の日食になった瞬間にまわりが闇になる。ダイヤモンドリングと言われる光の美しさはとても言葉にできない。まさに天変地異で、自然現象では一番すごい。予想通り私も“日食病”に感染しました」と笑う。
 その感動を世界に伝えようと中継を続けてきたが、今回、一連の取り組みが「インターネット活用教育実践コンクール」で評価された。「学校教育」「社会教育」「両者」の3部門に全国から68件の応募があり、総理大臣賞に次ぐ総務大臣賞に輝いた。
 尾久土会長は「1回の中継に数千万円かかる事業。様々な分野の専門家が自分たちの夢を持ちながら中継を通し新技術を試していますし、また、学校教育、社会教育に還元してきましたから」と話す。
 3月29日(水)には、アフリカから中央アジアにかけて観測できる皆既日食をリビア、エジプト、トルコから中継する。昨年はスペインの金環日食を田辺のビッグUにあるプラネタリウムで上映したが、今回は東京のプラネタリウムに空一面を再現する予定で、尾久土会長はエジプトから中継する。
 なお、ライブ!ユニバースは実行委時代から来年で10年を迎えるが、一つの区切りとして09年7月に奄美大島から種子島で観測できる皆既日食中継をゴールにと考えている。

写真上から=皆既日食(イメージ)、 ライブ!ユニバースを 率いる尾久土会長