フットサルでタイとの架け橋に

アッズーロ 中尾隼土さん 武者修行3年  広がる輪

秋に小学生同士の交流も

        

 5人制サッカーのフットサルを通じたタイとの交流が広がりを見せ始めた。「アッズーロフットサルクラブ」で代表兼監督兼選手を務める海南市の中尾隼土さん(26)が3年前から、武者修行のためアジアの強豪国タイを定期的に訪れており、今ではタイ代表の練習に参加するまでに。8月に初めてチームで訪問、さらに秋にはタイの小学生を招き、和歌山の子どもたちと交流する計画だ。中尾さんは「今後も日本とタイの架け橋になれれば」と願っている。

          
 小学校から高校までサッカーをしていた中尾さん。1998年に入学した滋賀県のスポーツ専門学校でフットサルに出合った。卒業後、和歌山県サッカー協会にかけあい、2001年の県フットサルリーグ立ち上げに尽力。現在、県フットサル連盟委員長を務める。
 初めての武者修行は03年2月。自身のレベルアップを目指し、アジア最強のイランに単身渡る計画だったが、隣国イラクの治安面から断念。当時、アジア2位の実力を誇るタイを目指した。
 とはいえ、全くの“アポなし”で、現地に知人はおらず、情報も全くない状況。「あったのはアジア大会の記事が載った雑誌だけ。大会MVPに選ばれたタイ代表のエース、マンジャレーン・アヌーシャ選手しか分かりませんでした」
 この記事を頼りに、アヌーシャ選手を探すところからスタート。片言の英語と辞書を見ながらのタイ語、そしてジェスチャーを駆使し、首都バンコクのスポーツ店を手当たり次第に回った。
 初日、2日目と手がかりは得られなかったが、3日目、たまたま訪ねた店のオーナー、モントリさんがアヌーシャ選手の親戚だった。早速、連絡を取ってもらい、翌日、アヌーシャ選手と待望の対面。気さくに応じてくれ、「次に来た時、一緒にプレーしよう」と約束、代表のユニフォームをもらい、帰路に就いた。
 半年後の8月、再度訪れ、アヌーシャ選手や同じくタイ代表のアヌッポン選手とボールを蹴った。翌04年6月の3回目の訪問では、アヌーシャ選手の計らいでタイ代表の練習に特別参加できることに。「ありえないこと。ただうれしかった。だれもが参加できる訳じゃない。情熱が伝わったんでしょうか」。空調設備の整った体育館で共に汗を流した。
 ここ3年で計5回、タイを訪れた中尾さん。「当たりの強いプレーが向こうの特徴。パス回しが独特で、足でも胸でも頭でも止められない腰の横のあたりを通してくる」と分析。加えて、「日本はパスをきっちり回してゴールをねらうが、タイは形に関係なく、貪欲にゴールをねらってくる」と得点への意識の高さを強調する。
 交流を重ねる中、タイ代表関係者から「1度、チームで遊びにおいで」との話が以前から出ており、8月に実現することに。アッズーロの約15人で遠征し、タイ代表との練習はもちろん、親善試合を行う。「タイはここ2年、急激にレベルアップしている。フットサルに対する強い気持ちをチームメートに学んでもらいたい」。さらに10月ごろにはモントリさんが経営するサッカースクールの小学生を和歌山に招き、地元小学生と交流する計画だ。
 「タイはストリートでボールを蹴っている子どもが多く、ブラジルに似た感じ。決して恵まれている訳ではないが、日本のように食事を残したりせず、ボールや靴など物を大事にする。フットサル以外の面でも様々なことを吸収してほしい」と中尾さん。「タイの人に日本の良さを、日本人にもタイの魅力を知ってもらうためにも交流を進めたい」と話している。

写真=右から2人目が中尾さん、1番右がアヌーシャ選手。今ではタイ代表選手やコーチとも顔見知りに