|
|||||
| 県は災害の被災者や事件事故の被害者の心のケアにあたる「こころのレスキュー隊」を立ち上げる。精神科医や臨床心理士、保健師ら専門家が災害や事件が起きた直後に現場に向かい、地域住民や児童生徒がPTSD(心的外傷後ストレス障害)などに陥らないよう予防を図る。9月12日には入隊を希望する人を対象とした基礎研修が始まり、学校での事件の実例に沿いながら対応を学んだ。県障害福祉課は「被災者や被害者、またその周辺の人々の心理不安を増やさないように組織的で専門的なケアにあたりたい」と話している。 |
|||||
|
|
|||||
国内では1996年の阪神大震災、地下鉄サリン事件で、被災者や被害者の「心のケア」が注目されるようになった。また、和歌山市の毒物カレー事件や池田小児童殺傷事件の発生時に被害者の心のケアに加え、事件後のマスコミの取材、学校の対応で現場が混乱し、地域住民や児童の心理的動揺の拡大が問題となっていた。特に和歌山では、東南海・南海地震の発生が懸念されており、災害時の心のケアへの備えも必要となることから、「こころのレスキュー隊」の立ち上げを計画した。 「災害や事件発生の直後の初期対応が主な仕事。心理的不安や動揺の拡大で起きる二次災害を防止する」と県障害福祉課。隊員は精神科医や精神科看護師、保健師、精神保健福祉士ら専門家約20人で構成する見込みで、派遣は1チーム5人から6人。災害や事件発生後に3日から1週間、現場に入り、ケアプランを作成し、現場での対応者へ助言や心理的なサポートを行う。 同課は「学校の場合は学校長からの要請が前提となるが、子どもたちの心のケアはむろんホームルーム、保護者会の実施、マスコミへの対応などにアドバイスを行う」とし、「現場の方向付けが最も重要」と語る。 同様の組織は、2003年に山口で全国で初めて結成され、05年の光高校爆弾事件で出動。年に3回から4回のペースで学校現場の対応にあたっている。これに静岡や長崎が続いており、和歌山は全国で四例目の結成となる。 現在は「こころのレスキュー隊」の派遣基準、現場での対応マニュアルの作成を専門家をまじえながら進めており、9月12日には入隊希望者と心のケアに関心のある人を対象とした「基礎研修」をスタート。藤森和美武蔵野大学教授が「災害・事故・事件を体験した子どもの心のケア」をテーマに話した。藤森教授は心の傷を負った子どもへの対応の仕方など具体例を示しながら、「事件などを目撃した子どもが一見、元気にみえるのは危ない。『元気だから大丈夫』と元気のカテゴリーに無理に入れたり、『いろんなことを経験し成長した』と考えるのは間違っている」とケアのポイントや注意点について述べた。 今後あと2回、基礎研修を実施し、その後は隊員を希望する人のみを対象にした実務者研修を行い、カウンセリングや図上訓練を実施。隊の編成を行い、来年度から活動をスタートさせる。 レスキュー隊の隊長となる県精神保健福祉センターの北端裕司所長は「まずは教育現場でできる限り役割を果たせるように努力したい。隊員にはさまざまな専門の人がおり、隊としての共通理解が必要となる。確実に効果を発揮するため、時間をかけ隊を成熟させ、先進県となることを目指したい」と話している。 基礎研修は11月10日(金)午後1時から和歌山市手平のビッグ愛で「災害後のこころのケアと防災計画」、12月5日(火)午後1時から同市毛見の県子ども・障害者相談センターで「緊急支援を行う者の支援を学ぶ」をテーマに開く。 問い合わせは県障害福祉課(073・441・2641)。 写真=基礎研修には教育関係者ら約80人が参加した |
|||||
|
|