(3)光を通す壁の家

     
 この家のリビングは東側に大きく開かれています。別に南側に建物があり、光が入らないからでなく、敷地の南側に道があるからです。折角南側に大きな窓があるのに、人の目を気にして昼間からカーテンや雨戸を閉めている家をよく見かけますが、外の景色を楽しめる方がよいと思います。
 そこで南側の開口は出来るだけ小さくして、視界を遮る磨りガラスを使用しています。それではリビングは朝日が入らなくなると暗くなるのかというと、そんなことはありません。最小限の開口でも、取り入れた光を遮ることなく、リビングまで導いてやる事で、充分明るくすることが出来るのです。
 その為に玄関扉をガラスにして、玄関と畳スペースとの間の壁の一部と、リビングと和室を間仕切る建具を光を通すアクリル板でつくり、壁紙を白くしています。そうする事で、強い日差しではなく、優しい光に部屋全体が包まれるのです。
 また、玄関先に目隠しの為に設けた格子の影が、太陽の向きにより様々な影を室内に落としてくれます。建物を建てるとき、一般的に正しいとされる事が多くあります。南側に大きな開口を取るというのもその一つだと思うのですが、家は建つ場所により条件が変わるので、一般的なものが必ず正しいとは言えません。
 その住宅が建つ環境を読み取る事で、住み心地の良い住まいが出来上がるのです。
(一級建築士・山中淳)

写真上から=小さな南側の開口、建具をアクリルで