(5)「ごちそう」大切に

万葉薪能の会

松本敬子代表(65)

        

-------1999年以来毎年、片男波公園野外ステージで万葉薪能を上演しています。
 山部赤人の和歌浦を詠んだ短歌が題材の喜多流の能『鶴』を日前宮で観て、「これを和歌浦で上演できたらどんなに素晴らしいだろう」と思い、仲間が集まったのがきっかけです。和歌浦は万葉の時代から現在も続く歴史的な景勝地。薪能以外にも、先祖が脈々と伝えてきた和歌浦そのものと文化を次世代へつなぐ役割を果たそうと、セミナーを開催しています。
-------薪能には毎年約1000人もの観客が集まるそうですね。
 和歌浦での薪能には、プラスの「ごちそう」があります。潮の香りや波の音、名草山にかかる月などを味わえる。それらを昔の人々も同じ気持ちで愛でたのかなと考えながら観ていただく。片男波の野外ステージはすり鉢状で、周囲に松が生えていて、薪能にはぴったりです。評判は口コミで広がり、県外からも大勢来場されます。
-------2004年から、和歌祭で使用する百面の再生事業に取り組んでいます。
 百面はほとんどが江戸期から受け継がれているものですが、実際に被るため損傷は否めません。では、使わなければいいのかといえばそうではありません。面はそもそも被るためにつくられたもの。一般のみなさんに寄付を募り、能面文化協会と協力し、「百面」という演目を存続させるためにも新たに制作する形で、昨年までに三十八面を東照宮に奉納しました。
-------高津子山の清掃整備活動もしていますね。
 会主催のウォーキングで春の高津子山を訪れ、見事な満開の桜に改めて気づきました。かつて「新吉野」と呼ばれた地を再び桜の名所として復活させようと始めました。汗だくになりますが、美しくなった山を見ると、すがすがしく幸せな気持ちになります。
-------今後の展望は。
 活動を重ねるたびに和歌浦からパワーをもらい、やりたいことをやらせていただいているという気持ちが強くなりました。まずは今までの活動を継続していくこと。その上で、地域の人たちと手を結び、横のつながりの中で和歌浦に貢献できればと考えています。