“命”学ぶ機会に
学校へのAED設置進む

     
 スポーツ施設や役所などの公的機関への設置が進むAED(自動体外式除細動器)。昨年(2006年)5月、田辺高校でクラブ活動中の生徒が突然死したのを受け、県教委は翌6月、全ての県立高校に配備した。和歌山市も4月から18の中学校全てに順次設置に乗り出す。これに先駆けて、今月、河西中学校(同市松江北)が市内の中学校で初めて救命講習を実施。生徒からは「命の尊さを実感した」との反応があり、命についてより深く学ぶ機会になったようだ。
     
◆河西中で救命講習
      
 AEDは心臓が細かく震え、全身に血液を送り出せなくなる心室細動になった際、電気ショックを与えて心臓の働きを回復させる機器。救急車が通報を受けて現場に到着するまで全国平均で6〜7分かかる。その間にAEDによる措置があれば救命率が上がることから、2004年に医師や看護士、救急救命士以外の人でも取り扱えるようになり、以後、役所やスポーツ施設から設置が進んでいる。
 学校へのAED配備が県内で増え始めたのは昨年から。5月に心室細動が原因とみられる死亡事故がクラブ活動中に発生したのを受け、県教委は六月から、全ての県立高校に配備した。有田市や田辺市では全小中学校に配備しており、和歌山市も今年4月以降、全中学校に設置することが決まった。
 昨年8月にPTAからAEDの寄贈を受けた河西中学校では、3月に3日間和歌山西消防署から救急救命士を招き、市内の中学校で初めて救命講習を実施。2年生199人が受講した。
 生徒は、人工呼吸や心臓マッサージ、AED使用法の説明を受けた後、「和歌山駅のホームで50歳ぐらいの男性が倒れた場合どうするか」「プールで溺れた人を助けるには」など具体的な想定の下、対処方法を実践した。最後に西消防署の救命救急士が「救命活動は“できない”のではなく、 やらなければならない
のです。学習したことを無駄にしないでください」と生徒に訴えかけた。
 受講した辻由布子さんは「これからそういう場面に出くわしたときは生かしていきたい」。山路裕樹くんは「難しかったけど、人の命にかかわることを勉強するのは意味があると思います」。
 同校では道徳や総合学習の一環として、救命救急についてのビデオを見たり、スマトラ島沖地震体験者の話を聞くなど、命をテーマにした授業を重ねており、米田哲朗校長は「今まで学んできた経緯があり、生徒の命に対する意識が講習でさらに高くなった」と手応えを感じている。和歌山市保健給食管理課は「今後、消防と協力してAEDの設置とともに講習会などを各中学校で実施していく予定です」と話している。
 このほか、県教委は2004年から県内の全日制高校を対象に、防災ボランティアスクールを実施。南海・東南海地震など防災に関する知識に加え、心肺蘇生法などを指導している。参加数は毎年約1500人にのぼる。
 県健康体育課は「人命にかかわる緊急事態に対応できる教育を各学校でもするように指導しています。救命講習活動を通じ、青少年に命の大切さや尊さを伝えることができると思います」と期待している。

写真=真剣な表情で講習を受ける