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和歌山大学時代、パスタ店でアルバイトをし、貯めた金でパソコンを購入した。まだインターネットが一般的でないころのこと。ネットで見る世界の広さに圧倒され、その可能性に強く魅力を感じた。自宅を訪れた友人たちは興味深そうに様々なサイトを開きただ楽しんでいたが、解説書を買いためて独学でITの知識を蓄えていった。
「インターネットで販売できないか」。知人の親から梅関連の商品販売を持ちかけられた。解説書片手に商品紹介から注文ページまで一つずつ作り上げ、オリジナルのネットショップを開設。注文が殺到し、ネットの威力にうたれた。「この世界に身を置きたい」。思いは固まった。
アルバイトを続けていたパスタ店に就職し、IT関連のベンチャー部門を担当。未成熟な市場に不十分な知識で挑んだため手探り状態だったが、ホームページの作成と管理を手がけた。その後、独立し、企業のネットショップサポートやホームページ作成を行うシナジーを設立。27歳の挑戦だった。
しかし、一緒に立ち上げた友人が自殺。技術面を友人に頼っていたため、瞬く間に窮地に追い込まれた。会社も傾いたが、地元企業を回ることはやめなかった。
「言われた注文をそのままこなすだけでなく、より良いものを作ろうと提案し、綿密な話し合いを大切にしよう」。客と二人三脚で1歩先、2歩先を目指すこの姿勢が信頼を集め、苦境は好転。ウェブ管理は30社にのぼるようになった。「自分がやりたいと思ったなら、後悔せずにやってほしい」との妻の支え、仲間からの声援も大きかった。
ブログ人気が高まった2005年ごろ、ヤフーやライブドアなど、当時大手ネット関連会社のブログが注目を集めていた。日常の些細なことを全国へ一気に発信できるネット環境が急速に整備され、地域ブログが各地で立ち上がり始めた。
そんな時、ある企業から「全国に広がる地域ブログを開設しないか」との提案が舞い込んだ。アルバイト時代から中心市街地活性化の会議やイベントに参加し、「地元をもっと元気にしたい」との思いを抱いていた山田社長。
「これだ」。直感が走った。
「利用者が自主的に情報を発信すれば、情報収集料はかからない。多くの人が参加すればビジネスにもなる」と見通した。「利用者全員が新聞記者となり、まちなかの情報を相互発信することで人の流れが生まれる。地域の活気にもなる」。元同僚で広告代理店シーエス・キュウの松原大輔代表取締役らと開設した。
IKORAブログは、インターネット上で日記を設け、地域のイベント情報や写真などを公開、全国の地域ブログ利用者と交流もある。開設から一年経った現在、約千人がブログを設けている。地域住民がおすすめスポットや店を紹介するため、内容が濃く、本音が聞ける。身近な人同士の交流にもつながる。
広告やページのデザイン料で事業は成り立つが、和歌山のスポンサーだけでなく、関西各地の地域ブログと共同で大企業の広告獲得を図る。また、昨年七月には東京に声優学校を設け、芸能界とつながりを作っており、「タレントのブログで和歌山の名産品を紹介してもらいたい」とサイトの魅力アップにつなげる考えだ。
今月にはブログ開設1周年を記念し、バーベキュー大会の参加を呼びかけた。集まったブログ利用者は40人。実際に顔を合わすのは初めてだが、“ブログ仲間"のメンバーはすぐに打ち解けた。「それぞれの日記に感想やコメントを書くことで、人と人の輪が広がる。ネット上で声をかけ合い、実際に会ってイベントなどを開けば地域が元気になる。和歌山を知りたい人にまず見てもらいたいのがIKORAブログです」
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