起業家支援 曲がり角
SOHO入居希望者が減少

     
 行政が低家賃でIT環境の整った事務所を貸し、起業家を支援するインキュベーション(創業支援)事業が曲がり角を迎えている。和歌山市のわかやまSOHOヴィレッジが今年度の募集枠11件に対し入居希望者を募ったところ応募はわずか2件。県のスタートアップオフィスも応募者数に陰りがみえ、入居の形に段階をつくるなど起業家の実力に沿った支援を始めた。創業支援事業は不況下での企業の採用減を受け展開したが、関係者からは「和歌山は中小企業が多い。起業家育成の必要性は変わらない」との声が聞こえてくる。
     
◆県「相部屋タイプ」企画し試み
     
 行政が低家賃でIT環境の整った事務所を貸し、起業家を支援するインキュベーション(創業支援)事業が曲がり角を迎えている。和歌山市のわかやまSOHOヴィレッジが今年度の募集枠11件に対し入居希望者を募ったところ応募はわずか2件。県のスタートアップオフィスも応募者数に陰りがみえ、入居の形に段階をつくるなど起業家の実力に沿った支援を始めた。創業支援事業は不況下での企業の採用減を受け展開したが、関係者からは「和歌山は中小企業が多い。起業家育成の必要性は変わらない」との声が聞こえてくる。
 創業支援事業は、起業家の創業初期のリスクを減らすのが目的。多くは低家賃でインターネットの環境が整っている個室を貸すもので、最近は施設に起業のアドバイスをするマネジャーを置くのが一般的になっている。
 県内には県が設置するスタートアップオフィス、和歌山市のわかやまSOHOヴィレッジ、橋本市の橋本ビジネスラボがある。田辺市にも、県がビッグU内にSOHOゾーンとして4部屋を設けている。
 このうち、和歌山市のわかやまSOHOヴィレッジは2000年に開設。県信ビル、NTT公園前ビル、京橋ビルに個室を設け、一時は74室に及んだ。しかし、一昨年(2005年)、県信ビルの30室に縮小。また、インキュベーションのマネジャーを設置、定期的に事業の内容をマネジャーに報告することを義務化するなど、育成支援により力を置いた。
 しかし、今春に契約が切れ空き部屋になっていた11室の入居者を募ったところ応募は2件にとどまった。
 市商工振興課は「インキュベーションを強化し、また入居の審査もかなり厳しくしたので、『ちょっとやってみたい』という人をふるいにかけた形になった」とみる。また、「一時期は数に頼りバブルだった。ただ借りているだけの人がいるなどイメージが悪くなってしまったが、今は質をみている。本来の形になっている」と強調する。
 一方、県が01年に始めたスタートアップオフィスは、県経済センターと海南市のリサーチラボに計30室を設ける。これまで124社が入り、うち11社が法人化を果たした。中には10数人の雇用を抱える会社にまで成長した例もある。
 だが、6月、契約が切れた経済センターの6室の入居を募ったところ、応募は5件にとどまり、県産業支援課は「方向を考える必要がある」とする。
 実は今回の募集に際し、県は6人の「相部屋タイプ」を企画し募集した。通常が1年契約で1平方メートル1000円なのに対し、こちらは6カ月契約で、家賃月5000円。インターネットも1人1回線設けている。
 同課は「ちょっと挑戦してみたい人のために設けた」と間口を広げる試みだったが、こちらは希望者がなく、県は今後、随時募る方針だ。
 インキュベーションマネジャーを務める曽我篤さんは「起業家は活動する資金確保でアルバイトに時間をさかれ、厳しいことは厳しい。ただ市場への入り方をよく考えていて有望と思える会社はあります」と現状を語る。
和歌山では起業家の数に陰りがみえるが、「全国的にインキュベーションの施設自体は民間が乗り出すなど増えている。和歌山は中小企業が多く、廃業率が開業率を上回っている。開業率を上げるためにもインキュベーション施設に大きな意義があることは変わらない」と話している。

写真=空室が出始めたわかやまSOHOヴィレッジ