(12)通り庭

     
 敷地は小区画の分譲地で、東西に長く南に道路を配している。漠然とした秩序の設定に始まり、やがて具体的に現れる個別の条件との対話、つまり全体と部分の絶え間ないフィードバックによって物語(デザイン)は展開し、理想とするライフスタイルと秩序の構築に対し、独立した空間域の連続性を追及する。
 屋内(リビング)、半屋内(デッキ)、屋外(通り庭)は通り庭の様々な行為「くつろぐ」「集まる」「働く」「訪れる」を包括する曖昧な空間により、社会とそれぞれの空間に連続性を持つ。連続性の性格は開口のあり方で決定される。
 訪問者は通り庭のコンクリート舗装を通じて玄関へと導かれる。リビングを横目にアプローチするが、時には、ダイレクトにデッキからリビングへと誘導したり、近所の方とデッキ越しに会話したりと、画一的な分譲地が閉鎖的になり過ぎず、ある程度プライバシーを確保できる様な空間を物語に織り込んでいる。通り庭には余白が有り、この領域を将来住み手の感性で彩りを施すだろう。
 眺望と隠れ家は領域設定の原理であり、通り庭に様々な文化的意図が加えられる事により初めて具体的な建築的結界が完成する。その全体像を決定する為に用意した囲壁は、独自の表層構成により、住み手と無関係な通過者に対しても社会性を発信している。
(建築デザイナー・黒柳和宏)
※今回で終了します。