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家庭用品国内最大の産地、海南市。1897年、この地で祖父の弥太郎さん(故人)が特産のシュロを使ったロープ製造を始めた。父の一男さん(故人)から兄の一弥さんが引き継いだ1969年からは「岡本産業」としてほうきやたわしの卸を手がけた。
兄と共に会社を支えていた岡本さんは75年に独立、風呂やトイレのマットを製造する「オカトー」を立ち上げた。86年、一弥さんが体調を崩したのを受け、岡本産業の社長を兼任。これを機に社名を「エルオー」とし、100円均一商品の卸に特化した。ちょうどスーパーの店頭などで100円均一商品を販売する催事業者が増えていた時期だった。
90年代に入ると、ダイソー、セリアなど店舗を構える大手が台頭。追い風に乗り、たわしやスポンジの水回り商品を中心に売上を伸ばした。7年前、当時は珍しかった目覚まし時計が大ヒット、3カ月で百万個を売り上げた。
2002年初め、大阪市で人気のアジアン雑貨店をのぞいた。噂通り、店内は若い女性であふれ、おしゃれな小物類に目を輝かせている。「こんな雑貨を100円で提供すれば面白い」。100円にこだわる目は、商機を見逃さなかった。
ひらめきからの行動は早かった。半年後、ぶらくり丁にbanabanaを出店。キッチン用品に食器類、写真立てやキャンドル、大小様々なかご…。わずか12坪の店内に並ぶアイテムは1500以上。その約8割が100円だ。
魅力は安さだけではない。「何か新しいものはないか」と心躍らせる客の期待にこたえるため、人気商品でもデザインや使い勝手の手直しを繰り返す。細かい部分は仕入れ先のアジア各国へ足を運び直接交渉。大手に卸す分も含め、現在扱う約3000アイテムのうち、商社経由は2割、8割が自社輸入だ。
中国、タイ、インド、スリランカ…。仕入れ担当者はいるが、岡本社長自らもベトナムやインドネシアなど年間20回は海外に飛ぶ。「コップ1つ仕入れるのにも、現地の窯元まで行くんですよ」。商社任せにしない姿勢が、“お宝”発見につながったこともある。陶器製のウサギを探すため行った中国で見つけ、仕入れた小さな鳥かご。中にライトを入れてインテリアに使おうと女性客が飛びつき、瞬く間に人気商品となった。
ぶらくり丁で人気を集めたbanabanaは仙台から福岡まで大都市中心に全国7店舗に拡大。このほか、洗剤や文具類もそろえた別形態の100円均一ショップを含め、全国で約30店舗を展開する。
06年度の年商は約26億円。うち小売り部門は四割を占めるまでに成長した。「卸に加え、もう一つ柱をとの考えはあった。が、あくまで主体は卸。小売りで得た細かい消費者の声を商品開発に生かし、卸につなげてゆく」
百均市場は大手4社がしのぎを削るサバイバル時代。デザインや品質に目を光らせる消費者も増えてきた。スポンジにしても洗濯ばさみにしてもかつては100円で20個、30個と量を提供していたが、最近は長く使えるものが売れる。「それこそ昔は壊れても『所詮100円』との感覚だったが、今は100円といえ高品質なものでないと生き残れない」。一方で「『安かろう、悪かろう』との認識が変わってきたのは、市民権を得た証拠」。30年にわたり、100円をめぐる勝負を続けてきた誇りをうかがわせる。
「『100円でこんなものが買えるのか』。そんな感動があるからお客さんは来てくれるんです」。次はどんな商品で驚かせるのか。「アイデアはある。でもそれは企業秘密です」。100円の可能性を追求する情熱に衰えはない。
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和歌山から飛躍を図る経営者の姿を毎週土曜号1面でレポートします。(ホームページでは、翌週月曜〈原則〉の公開です)
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