30数年ぶり 和歌浦で臨海学校
ファン獲得へ“先行投資”

     
 日焼けした子どもたちが海で遠泳・・・。今夏、和歌山市で30数年ぶりに臨海学校が開かれることが決まった。大阪・池田市の3小学校が、「海での泳ぎをマスターさせたい」と片男波海水浴場を訪れる。受け入れる和歌の浦観光協会は「子どもたちに和歌山の良さを知ってもらい、将来和歌山を訪れるきっかけになれば」と期待を寄せている。
 和歌浦地区での臨海学校は1970年ごろまでよく行われていた。新和歌浦にある木村屋旅館の木村幸さんは「昔は夏と言えば臨海学校。いまほど家族で旅行に行くことが少なかった時代で、みんな(木村屋下にある)網代浜で泳ぎ、上がったら冷やしアメを飲んでいました」と振り返る。
 毎年のように、大阪の海老江や淡路の小学校がやってきた。木村さんは「チンチン電車の新和歌浦停留所から歩いてここまで来ていましたが、黒潮国体前の71年3月に廃線になったころからほとんど無くなりました。そのころから家族旅行が盛んになってきたことがあるのかも」。
 ほかに、この時期までに大半の小学校にプールが整備されたこと、また、海で子どもたちを泳がせるにあたり、安全性を気にかける学校側が臨海学校を積極的に実施しなくなってきたことも影響したようだ。
 池田市は30年余り前に鳥取の青谷町(現・鳥取市)に市立自然の家を開設。昨年(2006年)まで5年生が自然学舎(林間学校)、6年生が臨海学舎(臨海学校)に訪れ、自然の中での集団生活を通し情操や社会性を育てるとともに、心身の鍛練に活用してきた。同市教委は「自然の家ができる前から臨海学舎を実施しており、海で1キロ泳ぐことを目標に毎年続けてきました。おかげで池田市の子どもたちの平均的な泳力は抜きんでています」と説明する。
 同施設が昨年限りで売却されたため、今年は学舎の実施場所を新たに求めざるを得なくなったわけだ。
 自然学舎は5月から6月にかけ6小学校がかつらぎ町の紀北青少年の家で既に実施。臨海学舎は鳥取と和歌山で行うことになり、3小学校が和歌浦の旅館に泊まり、片男波海水浴場で水泳を体験する。
 25日から2泊3日で訪れる神田小の宮前孝雄校長は「まず第一は海での泳ぎをマスターすること。鳥取は波が高いが比較的遠浅、片男波は波は穏やかですが深いところがあるので、1キロ遠泳は状況を見ながら取り組みたい」と明かす。
 一方、子どもたちを受け入れる和歌の浦観光協会は監視艇やライフセーバーを確保し、和歌山市は雨天対策として、こども科学館へ案内する手はずを整えるなど協力体制をとる。
 同観光協会の藤田光彦事務局長は「実際、夏場はかき入れ時ですが、これを機会に和歌浦の海を知ってもらい、大きくなったときに、リピーターとなってくれることを期待しています。いわば先行投資」、木村さんも「『昔、臨海学校で来たことがある』という人が訪ねてきてくれることがあります。とにかく、美しい海に親しんで欲しい」と願いを込めている。
 30数年ぶりに和歌浦地区で復活する臨海学校。“和歌山ファン”を増やし、将来の観光振興に役立てるためは、まず、子どもたちの心をとらえることからスタートだ。

写真=臨海学校で和歌浦の海の良さを広め、リピーターを期待