不登校 ひきこもりに伴走して (5)
レインボーハウス専任スタッフ  土井 広行
     
いろんな参加があっていい
     
 昼食を作る行事は、子どもとスタッフで買い物に行くところから始まります。お店まで歩きながら、子どもは「酢豚と八宝菜で迷うわ」等とつぶやきます。何を作るかは、あらかじめ決まっていないのです。買い出しに行った子どもが食べたい料理の中から、お店で実際に食材を見て、自分で作れるかどうかや予算と相談して決めるのです。
 好きな料理をできるだけたくさん食べようとして、食材の値段を見る子どもの眼光の鋭さは、周囲にいる大人たちにも引けを取りません。「予算内にしようと思ったら、ハンバーグは3個しか買われへん」と話していたら、近くにいた店員さんが「そのハンバーグはあと1時間で半額シールを貼るんやけど、もう貼ったげるわ」と言ってくれて、一緒に「ありがとうございます!」と言ったこともありました。
 料理の行事は、作るのが好きな子どもにとっては活躍できる機会でもあるのですが、子どもたちの反応は様々です。Aくんは積極的に料理作りに参加して、作った昼食をみんなと一緒に食べることができました。Bくんは「やりたくない」と言って買い物や料理作りには一切参加せず、他の子どもやスタッフが作った料理を食べるだけでした。
 AくんとBくんに関して、みなさんはどのような印象を持たれましたか。おそらくAくんには肯定的な意見、Bくんには否定的な意見が多いでしょう。家から外に出て行事に参加できたことや、他の子と話したり一緒に何かを作ることは、確かに貴重な経験になるかもしれません。
 しかし、私が最も着目しているのは、そこではありません。一番重要なことは、子どもが自分で考え、自分がやりたいから「やる」、やりたくないから「やらない」と決められたかどうかなのです。Aくんが自分で決めて積極的に料理に参加してくれたことは素晴らしいです。一方、Bくんがやりたくないことに対して「やりたくない」としっかり自己主張ができたことも素晴らしいのです。
 Aくんはやりたいから料理に参加し、Bくんはやりたくないから料理に参加しなかっただけであり、行事に参加する方法が違っていただけなのです。どちらかが良くて、どちらかが悪いということはありません。どちらの参加も素晴らしいのです。
       
土井広行 1974年、大阪府堺市生まれ。和歌山大学教育学部在学中、不登校児を支援するクラブ「プラットホーム」で活動。卒業後、レインボーハウスのスタッフ。