不登校 ひきこもりに伴走して (6)
レインボーハウス専任スタッフ  土井 広行
     
自分を大事にしていいんやで
     
 レインボーハウスの様々な場面を取り上げてきましたが、どの回にも共通していることがあります。それは、「子ども・青年に自己決定を保障すること」です。「行くか、行かないか」「話すか、話さないか」「参加するか、しないか」等を自分で決められることは、レインボーハウスの土台なのです。
 しかし、よく言われるのは「子どもの将来のためには、遊ばせてばかりでは駄目だ」「子どもに決めさせるだけでなく、もっとスタッフが促すことも大事なのでは」等です。いろんな子ども・青年がいるので、一概には言えませんが、私は別の考え方です。
 今までに出会ってきた中で多いのは、自分の意見・感情を出さないようにして、周りから「いい子」に見られるように無理をして振る舞ってきた子どもや青年です。親には心配をかけないように、学校では教師や友達と良い関係を保てるように、周りに気を遣うことにエネルギーを費やしてきたのです。
 「自分」という器からエネルギーがどんどん減っていき、逆に器の中には「しんどさ」が増えていきます。しんどさを減らすには、周りに気を遣うことも含めて、毎日頑張っていることを減らすしかありません。しかし、そのようにはしないのです。「お母さんにしんどいことを言ったら、心配かけるかもしれん」「友達にイヤな思いをさせたら嫌われそう」「ちゃんと頑張らないと、先生に嫌われるかも」と思うような、真面目でやさしい子ども・青年なのです。いくら苦しくても、内側にためこんで我慢します。
 やがて「自分」という器がしんどさでいっぱいになり、今まさに溢れるという時、「自分」を守るために人間が本来持っている防衛機能が作動し、周囲との人間関係を一度絶つのです。この状態が、不登校・ひきこもりだと考えています。
 周りに気を遣う中で、自分を押し殺していった子ども・青年たちには、「もっと自分を大事にしても、あなたのことを嫌いになれへんで」という人のつながりや場所が必要です。そして、いろんな子ども・青年が自分も大事にする生き方を築いていくことは、いろんな試行錯誤をする中でしかできない気がするのです。その試行錯誤を安心してするためには、「自己決定が保障されていること」が不可欠なのです。
       
土井広行 1974年、大阪府堺市生まれ。和歌山大学教育学部在学中、不登校児を支援するクラブ「プラットホーム」で活動。卒業後、レインボーハウスのスタッフ。