牛の力で遊休農地きれいに
草刈レスキューモデル事業

 過疎化、高齢化にともない、担い手不足で遊休農地や維持管理不足のため池が増加するなど、農村が抱える問題解決のため、県が今年(2007年)から進めている「放牧による草刈レスキューモデル事業」。今年最初の実施例として7月12日、紀の川市貴志川町西山の遊休農地約30アールに熊野牛2頭を放牧した。
 集まった地域の人に見守られながら、ゆったりと農地に入った県畜産試験場の雌牛「つるとく3」「さちみ」の2頭は、一面に生い茂った人の身長ほどある夏草を、早速おいしそうに食べた。今後約2カ月間、地域の農家で構成する「西山集落営農推進協議会」が管理し、9月下旬まで放牧する予定。
 草だけでは不足する塩分を補うため、いつでもなめられるように岩塩を置き、さらに水飲み場を確保。また、人に慣れさせるため、1日1回飼料を与える。
 同会の高岡敏正会長は「これまでは毎年、会員10人ほどで半日かけて草刈りをしていた。それを牛が食べることで、景観の保全や農地管理をしてくれるのはありがたい。これから顔を見に来るのも楽しみになるかも」とやさしく2頭を見つめた。
 同所での草刈りがうまくいった場合は、すぐ近くの遊休農地に場所を移して引き続き放牧する。
 遊休農地での放牧は昨年、県内3カ所で試験的に実施。うち田辺市の水田地区では、地元の農家が所有する牛で引き続き農地を管理している。
 今年は県内4カ所で予定しており、県農村計画課は「このモデル事業を広く知ってもらい、農地管理をする際の参考にしてもらえれば」と話している。

写真=遊休農地に入った2頭