不登校 ひきこもりに伴走して (10)
レインボーハウス専任スタッフ  土井 広行
     
孤軍奮闘しないで下さい
     
 お花見でブルーシートを広げようとすると、黙って手伝ってくれる子がいます。アイススケートで初心者の子がこけると、他の子がそっと手をさしだしてくれます。子ども・青年は、みんな優しいです。学校行事に行けるかどうかで悩む子、定期テストや受験に対する不安を話してくれる子もいます。学校を気にしていない子はいませんし、みんな学校に行けない自分を責めています。また、不登校の子どもを持つ親の交流会では「子どもが苦しんでいるのは、自分の子育てが悪いから」と涙ながらに話される方も多く、親も自分を責めています。
 「自分を向上させたい」と全く思わない子どもはいません。一方、「我が子を不幸にしよう」と思って子育てしている親もいません。子どもも親も、みんな必死で頑張っているのです。これは、昔も今も同じです。しかし、そんな子どものことを「甘えているだけや」「毎日サボれていいな」と言う人がいます。このような言葉を聞くと、「何でこんな理不尽なことを言われなあかんねん!」と悔し泣きしそうになります。
 先月発表された学校基本調査(速報)では、昨年度の小中学生の不登校は12万6700人以上。「予備軍」や中学卒業年齢以上の青年も含めると、100万人に迫るかもしれません。個人が原因と考える規模ではないです。
 昔と今で変わったのは、子どもや親ではなく周りの環境や社会です。不登校・ひきこもりの子ども・青年の多くは、社会の歪みから発せられたしんどさを一人で背負い、将来への不安とも闘っています。そして、そんな子どもを「私がどうにかしなければ」と孤軍奮闘しているのが親です。孤独な闘いを強いられている子どもや親に「伴走」してくれる人、それが前回も書いた「補給基地」なのです。補給基地は、誰でもなれます。いつも通りに接する中で、話してきたらいっぱい聞いてあげて下さい。「いつでも聞くで」という姿勢こそが重要なのです。
 小さな石でも池に放り込めば、本当に小さな波ですが池全体に広がります。波をおこせる貴重な機会が、今回の連載だと思っています。一人がおこせる波は小さいですが、大勢がおこせば今のしんどい状況を変える大きな波になります。この波を大きくするのは、あなたです。
       
土井広行 1974年、大阪府堺市生まれ。和歌山大学教育学部在学中、不登校児を支援するクラブ「プラットホーム」で活動。卒業後、レインボーハウスのスタッフ。