災害に備え NPOが連携へ
12月には模擬訓練も

       
 大規模災害が発生した時に、復興に向けた市民やNPOの活動体制を模索する「被災地生活支援NPO体制整備ネットワーク」が発足した。発生直後でなく、身の安全を確保してからの生活復興期に何ができるかを考え、市民やNPOの役割を探るもので、9月8日の第1回会議には25団体が参加。主催したわかやまNPOセンターの西川一弘事務局長は「災害や防災をテーマにしたNPO以外でも、日ごろの延長線上に災害時に生かせる活動がある。地元の力で復興ができる仕組みづくりになれば」と期待している。
    
◇地域の力で“生活復興”
    
 同ネットワークは県が今年度から実施する「被災地生活支援NPO体制整備事業」。NPOが被災地でそれぞれの専門分野を生かし、効果的な活動ができるよう連携するもので、会議を通じて各団体ができることを確認するほか、模擬訓練を行い、万一に備える。
 同事業の委託を受けたわかやまNPOセンターが参加を呼びかけたところ、25団体が名乗りを上げ、10月8日、初めての意見交換会を開催。「震災から命を守る会」と防災関連の団体から、「HANDS和歌山」「ハッピーボックス」など福祉分野の団体までも集まった。
 この日は、まず、日本災害救援ボランティアネットワークの寺本弘伸理事が「災害から2週間、その時現場で求められるもの」と題し講演。阪神淡路大震災での経験を話し、暮らしの中で求められるものを探ることと、ボランティア同士のネットワーク構築の重要性を強調した。
 続いて、3グループに分かれて「災害発生から1カ月後にNPOが果たせる役割」を話し合った。まず、「妊婦のケア」「移動手段」など、予測される需要をメモに書いて模造紙に貼り付け、「通訳」、心のケアを図る「写真展」などNPOができることを話し合い、「復興が進むと営業妨害になる支援もあるのでは」などの問題点も出しあった。 
 参加団体の1つ、認知症サポートわかやまの林千恵子代表は「認知症の人は避難所など環境が変わると混乱してしまう。サポートする人がいれば落ち着いて復興への手伝いができるので気持ちの面でのケアができると思う」。また、ITを活用した地域づくりを進める市民の力わかやまの道本浩司理事は「被災状況をインターネットで発信したり、情報共有できる仕組みを作りたい」と話していた。
 今年度(2007年度)は11月に、避難所を想定し、絵本の読み聞かせなど実践できるものを試みるのを始め、12月には「『生活復興』模擬訓練〜NPOの出番です!」と題し模擬訓練を行う。また、被災者に各団体ができることを知ってもらうガイドブック作成も計画している。
 講演した寺本さんは「災害発生前からNPOが集まってネットワークを作るのは全国でも珍しい。発生から一カ月経つと他府県からのボランティアや世間の関心は薄れるので、その時こそ地域の力でそれぞれの専門性を発揮することが大切」と評価していた。また、NPOサポートセンターの島久美子センター長は「今回の取り組みは日常の自分たちの活動を見つめ直す機会になる。異分野の活動を知るきっかけになり、活動の幅が広がる可能性もある」と話していた。

写真=生活復興期の需要を書き出し、NPOができることと照らし合わせた