公共交通のススメ(1)
見直そう 交通モード
WCAN交通まちづくり分科会  事務局長 志場 久起

       
 貴志川線の運営移管をはじめ、和歌山市周辺では公共交通が全国的に注目を浴びるようになりました。しかし全国的に見ると公共交通機関利用者は減少基調が続いており、赤字事業者が大半を占める事態となっています。そのようななか公共交通のあり方を見直す機運がより高まっています。いくつかの側面からみてみましょう。
 言わずもがな、地球温暖化防止は喫緊の課題。国土交通省の試算によると、1人を1キロ輸送するのにかかるCO2の量は、鉄道を一とすると自家用車は鉄道の約9倍、バスは鉄道の約2・7倍(15年度)だそうです。渋滞にはまっている間、燃料が無駄だなぁと感じるのは私だけはないはず!
 今の和歌山市周辺は自家用車がないと、快適な生活を送ることが難しい側面があるのも事実。いわゆる都市の「低密度化」です。かつて新しい住宅地開発はどうしても郊外で行われがちでした。それに合わせて商業地も郊外へ拡散し、公共交通も都市の密度が低い地域では効率が悪く運行が困難になりました。よって何をするにも自家用車に依存せざるを得ない都市ができあがった、というのが多くの地方都市で見られる現状です。しかし、同時期に開発された地域はほぼ時を同じくして、高齢化社会を迎えます。その際に自家用車を運転しづらくなった高齢者の交通手段をどう確保するのか、という問題が全国で起きています。
 毎日のように「メタボリック症候群」なんて言葉が叫ばれるご時世。ドア・トゥ・ドアで移動できる自家用車ではなかなか運動になりませんよね。電車やバスで移動すると、駅やバス停まで、あるいは下車してから目的地までの徒歩が結構いい運動になります。車内で立っているだけでも違うんだそうです。あるいは、自転車で颯爽と走ってみるのもいいかもしれません。
 これだけではありませんが、代表的な課題を挙げました。でも「自家用車のほうが便利やん」という意見があるのもごもっとも。今や自家用車は生活する上では欠かせない存在であるのも確か。しかし、うまく「交通モード」(自家用車・徒歩・二輪車・公共交通など)を組み合わせて、少しでも環境や財布、健康に優しい交通行動をとってみませんか。これからしばらく、交通にまつわるお話を書いていきたいと思います。(今週から第1・3土曜で掲載します)