心地よい香り 生活に
野崎薫・真実親子の場合
     
 ストレス緩和や集中力向上に効果があると、医療やスポーツなど様々な分野で活用されるアロマテラピー。「ラ・ベルビー」(和歌山市元寺町)を営む野 薫さんは、いち早くアロマに注目し、県内で初めてアドバイザー、インストラクターの資格を取得。「アロマテラピースクール」を開き、普及を図る。「母のようなインストラクターになりたい」と話す長女の真実さんは資格を取得し“自分の香り”を模索している。薫さんは「アロマは美容、健康に効果的なだけでなく、人助けや社会貢献につながる。娘には様々な分野とのコラボを考えてもらい、自分のテーマを見つけてほしい」と見守る。
 香りで心と体を癒すアロマテラピーは、薬草植物から抽出した精油を、部屋で揮発させたり風呂の湯に混ぜたり、身体につけて香りを楽しむもので、若い女性を中心に人気を集めている。香水や整髪料を好む父の元で育った薫さんは、息子が公園の砂場で遊ぶたびにアレルギーで手が荒れたため、夢中で漢方や皮膚について勉強し、偶然、アロマを知った。
 早速、大阪のアロマ講習会に足を運び、初めて自然素材から抽出した精油にふれた。香りが体に自然と溶け込み、香水の人工的な香りにはない感覚になった。「アロマが天職」と直感し、その後、セミナーに足しげく通い効用を確かめた。さらに深く学ぼうと大阪、神戸の学校に通う一方、自宅を一部改装しアロマを前面に打ち出したエステサロンを1984年に立ち上げた。当時、アロマは和歌山ではほとんど認知されていなかったが、転勤や帰省で都会から来た人が店に足を運んでくれ、「体も心も軽くなった」との声に手応えを感じた。また、客足が口コミで伸び始め、「もっと広めたい」と思いを強くし、日本アロマ環境協会のアロマテラピーアドバイザーとインストラクターの資格を取得、2000年に県内初のスクールを設立した。

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 幼いころの真実さんは自宅に並ぶアロマ用品が、何なのかよく分からなかった。小学4年の時に転校し、慣れない環境で悩んで落ち込んだ時、薫さんがストレス緩和や心身のリズムを整える香り「ゼラニウム」をたいて、背中をなでてくれた。母の優しさと心地よい香りに真実さんの気持ちはほぐれ、涙があふれた。アロマとは知らなかったが、香りへの関心は高まった。
 小学高学年になると香水を集め始めた。初めはビンのデザインや装飾が好きで、小遣いを貯めては買い、多い時は窓辺に50本近く並べた。
 初めて母の職場に足を踏み入れたのは中学生の時。試しにかいでみた香りに鼓動が高まった。「なにこれ? すごく良い香り」。アジア風の女性的な香り「イランイラン」だった。母が自分が一番好きな“香り”を仕事にしていると知り、好きな香りを自分で作れることに魅力を感じた。

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 高校から店の手伝いを始め、大学1年で母と同じ資格を取得した真実さんは、スクールの講師や店での接客に励む。日常的に薫さんとアロマについて話し、深夜までブレンドテクニックやメンタルケアについて話し込むこともある。その度に母の意見の深さに気づかされるが、考え方や意見を熱心に出し、「そんなにアロマが好きなのか」と母を驚かす。
 一方、薫さんはスクール開校のころから、小学校での保護者対象のアロマ教室や、店で親子体験セミナーを開いている。生活の色々な場面でリラックスや集中ができるよう指導する。また、昨年(2006年)11月から月2回、東京に通って学んだアロマオイルの原料であるハーブのセミナーも来月からスタートさせる。「妊婦さんの肩こりや足のむくみ、ストレス緩和に効果が期待できる。香りを楽しむだけでなく健康にもいいことを伝えたい」
 真実さんは「母が母にしかできないセミナーをしているように、私は私にしかできない何かをつかみたい」と模索する。薫さんは「私自身は『美容・アロマ・健康』をテーマに歩んできたが、娘がどんなテーマを見つけるか楽しみ。大変でしょうが“思い”が強いのできっと大丈夫」と見つめる。