小児救急の診療時間拡充
夜間・休日の需要増に対応

       
 夜間や休日に子どもの診察を希望するケースが増える中、県北部の小児科医が連携して診療に当たる「和歌山北部小児救急医療ネットワーク”すこやかキッズ”」が10月1日にスタートした。日本小児科学会和歌山地方会が中心となってネットワークを立ち上げ、和歌山市吹上の同市夜間・休日応急診療センターの診療時間を延長。勤務医、開業医約70人が交代で担当し、深夜零時から午前6時まで小児科医1人が常駐する。同会事務局担当で、県立医科大学附属病院小児科の鈴木啓之准教授は「小児科医が少ない小さなエリアごとに救急医療体制を維持するには限界がある。広域の勤務医、開業医が分担し対応してゆきたい」と話している。
     
◇和歌山北部ネットワークスタート
     
 同市夜間・休日応急診療センターは、これまでも午後8時から深夜零時まで診療していた。ネットワークのスタートで、10月からは翌朝6時までに延長。加えて、土日祝の午後7時から数時間は特に混み合うことから、小児科医2人体制とした。対象となる御坊市以北の15歳未満人口は約11万5000人。
 救急医療は、比較的軽い患者を診療する一次、入院や手術が必要な患者を受け入れる二次、さらに重い患者に対応する三次に分けられる。小児医療の場合、患者の九割が一次医療で、この部分を同センターが担う。病状により緊急の検査や入院が必要な場合は県立医大附属病院、日赤和歌山医療センター、和歌山労災病院が順番で対応する。
 県内の小児救急医療は、一次についてはこれまで同市夜間・休日応急診療センターや那賀、伊都など各地の休日急患診療所が対応。また、海南市・海草郡や新宮市のように地元医師会が在宅当番医制をとり、まちの小児科が交代で休日、夜間に対応している地域もある。ただ、同センターは深夜零時までで、他地域でも零時以降に診療しているところはなかった。
 ネットワークスタートの背景にあるのが、夜間、休日の需要の増加だ。県医務課によると、同センターや各地の急患診療所、在宅当番医制を利用した患者は、2004年度が19520人だったのに対し、昨年度は22412人とここ3年だけを見ても3000人近く増加している。「共働きの増加で、近所の小児科の診療時間内に子どもを連れていけないケースが増えている」と同課。また、同市保健所は「核家族化が進み、子どもの病状にアドバイスをくれる祖母らが身近にいなくなったことも大きい」と話す。
 これまでは県内を7エリアに分けた医療圏ごとに小児救急体制をとってきた。ただ、橋本市・伊都郡の5人(04年)のように小児科医の少ない地域もあり、平日午前、午後の診療に加えて、夜間や休日の診療体制を維持し続けるのは困難な状況となっていた。
 県立医大の鈴木准教授は「24時間365日、小児科の医師に診てもらいたいとのニーズが高まっている。その一方、小児科医は限られた人員で昼夜の診療に当たっており、このままだと通常の診療も含め、小児科医療全体の崩壊になりかねない」と強調。「新ネットワークがうまく稼働すれば、勤務状況も改善される。その結果、『小児科医になりたい』と希望する学生が増え、ひいては小児科医療全体が今より良い方向に進んでくれれば」と願っている。
 和歌山市夜間・休日応急診療センターは(073・425・8181)。また緊急時の相談窓口として、子ども救急相談ダイヤル(♯8000または同431・8000。日祝、年末年始の午後7時〜11時)、県救急医療情報センター(同426・1199。24時間対応)。