おはなし一輪
結婚式の意味
       
 もともとは結婚式を挙げるつもりはありませんでした。しかし、自分たちのことを多くの人に知ってもらいたいとの願いから、10月13日に和歌山市内で結婚式を挙げました。
 僕は中学2年から21歳まで家にひきこもっていました。ギターやパソコン、読書だけをする暮らしの中で、本格的にパソコンの勉強がしたくなり高校へ入学、和歌山大学を卒業後、ひきこもり青年支援の作業所「エルシティオ」の事務局長として働いています。
 エルシティオは今年5周年。現在、10数名の青年が通っていて、これまで7人が大学や高校に入り直したり働きに出たりしています。まだまだ課題はありますが、お互い仲間が助け合う形ができてきています。
 妻は4年前に「ギターを教えて欲しい」とエルシティオに来ました。彼女も高校時代に不登校を経験し、「自分の経験した不登校を十分に見つめ直したい」との思いがあったようです。
 僕への最初の印象は「あかぬけない男」だったらしいですが、請われるまま、生ギターで歌を何曲も歌いました。「目を閉じ、声だけ聞いていると格好良い」とほめて(?)くれました。僕は声がこもりやすく、よく話相手に内容を聞き返されるのですが、妻は一回も聞き返したことがありません。話が伝わるのです。そんな経験は初めてで、他の人に感じたことのないものを感じました。僕は今までにない行動力を発揮し、結婚にこぎつけました。
 ひきこもっているのは本当につらいです。不登校の子は学校に行けないこと自体を悪いことと考え、一人で傷ついています。自分を分かってくれる人、本心を語れる人がいないと苦しみ、ひきこもる人はたくさんいます。しかし、自分の気持ちをぴたりと分かってくれる人に巡りあえることもある。僕らだってつらい時期があったけれど、こうして巡りあえた。
 そんな思いを込めた式。エルシティオの仲間やお世話になった方々に祝福して頂け、本当にうれしく思っています。     (岩出市 永井契嗣)

写真=永井契嗣さんと妻の佐希子さん

     
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