寄稿 ドイツ市民の意識と環境問題
和歌山大学大学院システム工学研究科・山本 将功

         
 私は、「近自然塾」という学生団体や、「紀州えこなびと」という市民団体に所属し、地域興しと地域の環境保全を目的とした活動に取り組んでいます。こうした活動が縁となり、昨年(2007年)10月、セブンイレブンみどりの基金が行う「環境ボランティアリーダー海外研修」に参加し、ドイツへ行きました。
 ドイツと聞くと、ビール、ソーセージ、名車…など、様々なイメージが頭を巡ることでしょう。そうしたイメージに加えて、外せないポイントがあるとしたら、それは「環境先進国」という言葉だと考えています。「環境先進国」たる所以には、様々な事例があります。例えば、日本の憲法に相当するドイツ基本法には、「次世代のために自然を守る責任がある」と明記されています。こうした大きな視点を持って、自然環境の保護や再生、再生可能エネルギー(太陽光、風力、バイオマス、地熱、水力)の導入が行われています。
 具体例を紹介しますと、2020年までに総発電量の約20%、50年までに約50%を、再生可能エネルギーにする計画が立てられ実行されています。これを裏付けるように、05年には太陽光パネルの導入量が日本を抜いて世界一となりました。このような国としての動きだけでなく、市民活動が活発です。なんと、活動を国全体に展開し、会員数が40万人を超える市民団体が存在しています。資金集めから人材育成に至るまで全て市民の手で行い、そうした基盤を充分に活用した環境保全活動や環境教育に取り組んでいます。
 こうした情報だけを見ると、「なんだか良く分からないけど、ドイツってすごい国ですね」と、他人事のように片づけられてしまうかもしれません。実は、私自身も実際に訪ねてみるまで、漠然とこの「環境先進国」の意味をとらえていました。
 しかし、本当にすごいところは、市民一人ひとりが「こうしたい」という思いを持ち、それを自分で実行するか、あるいは誰かに託す(選挙)という方法を経て、それぞれが思いを実現しようとしていることでした。市民一人ひとりの行動が、小さな地域、それらをまとめる州、そして国全体へと広がっていました。こうした傾向は、市民団体の組織図にもみられました。先ほど紹介した市民団体には、一番上に市民がおり、その下に地域や州の代表者が位置づけられていました。そして、自分たちが「提案」すれば、社会を変えることができるという実現可能性を市民の間で共有していました。
 では、和歌山に住む私たちはどうすれば良いのでしょうか。地域の将来を担うのは、やはり「市民」しかいないと考えています。私たち「市民」にこそ、「持続可能」な地域を生み出す秘訣があるといえます。ドイツで国を変えたのは「市民」でした。国は違えども、私たちも一人の「市民」であることには変わりありません。私たちが暮らす地域のために、将来を担う子供たちのために、できることから取り組めば、ドイツに負けない住みよい地域をつくることができるのではないでしょうか。
 今回、ドイツでの取り組みを知ると同時に、和歌山の可能性について気付くことができました。今後も、「思い」を実現できる市民になれるよう、頑張りたいと思っています。

写真=中央で旗を持つのが筆者