2008和歌山展望
和歌山版“6次産業”の展開 
和歌山社会経済研究所主任研究員 谷奈々
         
 「6次産業って何?」と言われるかもしれません。1次産業×2次産業×3次産業=6次産業となり、農畜産物をそのままで売るのではなく、巧みに加工し、消費者のニーズを考慮して流通や販売まで視野に入れ、付加価値と就業の場をつくり、農村に豊かさと活力をもたらす目的です。
 今、和歌山をはじめ、わが国の農業は、「4K」の危機に直面しています。即ち「高齢化・過疎化・後継者難・国際化」で、これを打破すべく、農作物のブランド化、消費者への直接販売、ネットの活用、加工品の開発と製造、農家民宿やレストラン、地産地消、農業体験やグリーンツーリズム…、各地で様々なアグリ(農業)ビジネスが実践されています。
 欧米では1970年代から、都会の住民が地方に滞在するルーラル(田舎)ツーリズムに根強い人気があります。最近は、日本でも団塊の世代や退職者を中心に田舎回帰の傾向もみられます。受け皿となる地方では「おばあさんの郷土料理」や「おじいさんの語り部ガイド」など高齢者の生活に活気を与えます。人が来るということは全ての産業に波及効果が及び、衰退した商店街にも好循環をもたらすでしょう。
 歴史とイノベーションを兼ね備えた地域の伝統産業を大切にし、豪華ではないが素朴で自然なもてなしは、地域の人々の誇りと心意気を伝えるものです。
 東京大学の橘川武郎教授は、「地域経済の活性化について、雇用創出につながる地域再生のメカニズムを2つに大別できる」として、1つを「滋賀モデル」(製造産業集積の活力維持、健闘による)、もう一つを「長浜モデル」(黒壁等、第3次産業の革新を起点)と名付けています。ならば、農林水産業という一次産業を核としつつも、加工・流通のみならず、環境、福祉等もとり込んだ新しい経営形態の複合パターンが、教授の第3のメカニズム—「和歌山モデル」と命名されることを期待しています。