審査員 いわみせいじ賞 シンデレラ・マウス
坂口文菜さん(那賀高1)
昔々あるところに、シンデレラという、美しい娘がいました。これは、シンデレラの家に住む、1匹のネズミのお話です。
ネズミのトマは、最近この家に引っ越してきました。優しいシンデレラが毎日ご飯をくれるし、気の合う仲間も出来て、とても幸せな生活をしていました。
ある日、仲間のジャックが嬉しそうに帰ってきて言いました。
「トマ、もうすぐお城で舞踏会があるんだって! すごく豪華な料理もたくさん出るらしいよ。皆で行こうよ!」
皆は大喜びで、すぐに計画を立てはじめました。
舞踏会当日。ジャック達は待ちきれず、昼からお城へ出掛けてしまいました。
すっかり日が沈んだころ、トマもお城へ向かいました。途中外からシンデレラの声がしたので行ってみると、シンデレラと変な恰好のおばさんが立っていました。何をしているのか、そこに居たネズミに聞こうと近付くと、その隙に、おばさんの魔法によって馬へ変えられてしまったのです。
「シンデレラをお城まで連れてってあげるのさ。いつもの恩返しだよ」
と、同じく馬になったネズミが言いました。お城に行くのならちょうど良いと思い、自分でも信じられないほどの速さでお城へ向かいました。
お城につき、シンデレラを送り出し、自分も中に入ろうと思いましたが、トマは馬なので入れません。魔法は12時まで解けてくれないのです。
トマはしかた無くお城の周りを散歩していると、美しい1頭の馬に会いました。名前はマオです。マオはお城で飼われている雌の馬です。トマは一目で惚れてしまいました。2頭はとても仲が良くなり、ずっと話し続けました。
しかし、マオもトマに気を持ちはじめた頃、12時の鐘が鳴り響きました。トマは馬からネズミへ戻ってしまったのです。トマは幻滅されると思い、一目散で家へ帰ってしまい、マオは、突然トマが消えた悲しみで泣き続けました。
それからもずっと悲しんでいたトマの元へ、魔法使いがやってきました。
「あの時、馬にしてしまったお詫びに一つだけ、願いを叶えてあげるよ」
トマは迷わず、馬にしてくれるよう頼みました。
馬になったトマは無事マオと仲直りし、一緒にお城で暮らしています。王子と結婚したシンデレラとシンデレラについてきたジャック達も一緒です。
豪華な料理は食べられなかったけれど、それ以上の幸せを手にすることが出来た、トマなのでした。めでたしめでたし。
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審査員・いわみせいじさん(漫画家)のコメント…応募作品で唯一のパロディ。シンデレラをネズミの目線で描いた視点がおもしろい。