和歌山のお産は今(1)
揺れる産科医療体制
和歌山医療圏における周産期医療ネットワーク協議会会長赤山 紀昭 
    
 皆様方ご存知の通り、今日の産婦人科医療、特に産科医療体制は危機的状況に陥っています。
 全国の病院で産婦人科の閉鎖が相次ぎ、分娩取り扱いを中止する一般診療所が急増しています。主な原因は産婦人科医師の不足ですが、少子化による経営の悪化、医師の高齢化や、医療訴訟が増加し、肉体的、精神的負担が大きくなったことも大きな要因となっています。
 産科は常に24時間対応の医療であり、妊産婦の方々のため昼夜をたがわずほとんど休みの取れない過酷な仕事であります。これまでは、医師の義務感、使命感で分娩に取り組み、世界一、新生児および妊産婦死亡の少ない安全な医療を作り上げてきました。
 しかしながら、現状は今日の一般社会では通用しない過酷な労働環境を見直そうとする機運さえ見られません。このような状況下では産婦人科を志望する若い医師の増加は見込まれず、さらに医師不足が加速することが心配されます。
 和歌山県でも、お産を受け入れる施設の減少は深刻で、産婦人科施設の20%程度となりました。それぞれの施設の医師の負担はさらに増大しています。
 安心、安全なお産を維持するため、小児科の先生方と連携し、県立医科大学に「総合周産期母子医療センター」を立ち上げ、また、日赤和歌山医療センターもこれに準ずる施設として、緊急を要する妊産婦さん、重症な疾患を伴う妊産婦さんや新生児を受け入れる体制を整備し、対応してきましたが、これらの施設では他にも増して過重労働を強いられております。今日まで他府県にみられるような受け入れ拒否は全く無く、すべての患者さんに対応しておりますが、これらの施設に正常なお産も集中する傾向になってきました。
 和歌山市では、医師の過重労働を避けるため、海南市、紀美野町を含め、各分娩施設での予約限界を超過した妊婦さんには、電話などで対応する相談窓口を開設し、ご本意でないにしても、他の施設へ「割り振り」させていただくことを考えざるを得なくなりました。
 現在のところいわゆる「お産難民」といわれる方が生まれる状況ではありませんが、現状をご理解いただき、ご協力をお願いいたします。

写真=赤ちゃんの健やかな寝顔を守れるか(本文と直接関係ありません)

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 和歌山のお産をめぐる現状と今後の展望について、「和歌山医療圏における周産期医療ネットワーク協議会」に加わる医療機関や団体のメンバーが毎週土曜号で紹介します。