森を感じる樹上の世界 
ツリークライミングで新発見

            
 いつも下から見上げる木々を上から見たら、知らなかった世界が広がっていた----。ロープやサドル(安全帯)などの道具を使って木に登る「ツリークライミング」。岩出市の青木光男さん(63)は、和歌山県内で唯一「ツリークライミングジャパン(TCJ)」公認のファシリテーター資格を持つ。森や自然の知識と経験を重ね、これまでイベントや学校でツリークライミングの楽しさを伝えてきた。2月から月1回、同市で定期的に体験教室を開く。
     
◇岩出市の青木さん今月から体験教室
     
 ツリークライミングはもともと、アメリカの樹芸家が樹木管理などのために開発した技術。広くレクリエーションとして楽しんでもらおうと、1983年にアトランタで「ツリークライマーズインターナショナル(TCI)」が組織され普及した。日本では2000年にTCJが設立された。
 木の枝に掛かるロープと、体に装着したサドルをカラビナと呼ばれる金具でつなぐ。体重をかけて、腕と足でロープを引くと体が上がっていく。だれでも安全で簡単にでき、老若男女を問わず世界各国で楽しまれている。
 「コツをつかめば、そんなに力はいらないんです」と青木さん。幼いころ林業を手伝い森に親しみがあり、定年退職後、根来山げんきの森で森林ボランティアとして活動していた。04年、げんきの森里山祭りでツリークライミングに出合う。宙に浮いた状態で初めて見た樹上からの景色に驚き、講師で来ていたTCJの創立者、ジョン・ギャスライトさんの「自然にありがとう」との理念に賛同した。翌年には妻の久美さん(60)とともに「ベーシックツリークライマー」の資格を取得。さらに、06年にツリークライミングを指導できるファシリテーターの公認を受けた。
 青木さんのツリークライミング講習は、まず道具の説明、装着と準備体操から。木をイメージしながら体をほぐす。「周りの木を見渡して、真似をするように体を伸ばしてごらん」「今度は屋久島の縄文杉みたいに足をふんばって」と青木さんは笑顔で声をかける。説明の中で木の役割や自然の大切さを伝えていく。
 「ツリークライミングは競うものではない。だから、自分のペースでいい。木の性質や役割を知って、木と友達になり、体中の感覚で森や自然を感じてもらいたい」と青木さんは話す。
 2月3日に初めて挑戦した栗山拓也くん(山崎北小4)は「上から見たら、隣の木にある木の実が下に見えて、なんだか不思議な感じだった」と“樹上の世界”で新たな発見をしたよう。弟の孟留くん(同小2)は何度も登って歓声を上げた。父の英之さんと母、美和さんは「最近は昔に比べると危険が先立って子どもにチャレンジさせる機会が減っていると思う。自分の力で登るツリークライミングの経験は、子どもにとって気持ちの面でも今後生きてくるのでは」。樹上という目標に向かって努力し、達成感や自信を味わえるのも醍醐味だ。
 青木さんは「ツリークライミングの第一の目的は木に登ることではない。環境は、次世代のために使ったら戻さねばならず、『地球は大きな貯金箱』と理解を深めてもらえれば」と話している。

写真=青木光男さん

◇   ◇

 青木さんが指導する「ツリークライミング体験をしませんか?」が2月24日(日)、和歌山県植物公園緑花センター近くの森で開かれる。午前10時、11時15分、午後1時半、2時45分の4回、定員各10人程度。対象は6歳以上。軍手、タオルなど持参。保険、入園料込みで、6歳〜14歳2000円、15歳以上2500円。申し込みは青木さん(0736・63・2895、FAX兼、メールnukv52135@hera.eonet.ne.jp)。