和歌山のお産は今(2)
重症妊婦 受け入れるために
和歌山県立医科大学周産期部講師南 佐和子
    
 和歌山市内で分娩のできる産科の施設は、最近激減しています。20年ほど前は20カ所を超えており、どこで産もうかなんてあまり考えなくてもよい時代でした。今は6カ所の診療所、4カ所の病院、そして2カ所の助産院しかありません。
 これは産婦人科医の減少に伴う事態なのです。医者全体の数は増加していますが、産婦人科を志す者は減っています。和歌山でも昔から開業されていた先生方が分娩を続けられなくなり、その跡を継ぐ人材がいないのです。
 これに伴い、多くの方が県立医科大学附属病院で出産されるようになってきました。他府県からの里帰り分娩の方も多くみられます。皆さんが多くの信頼を大学病院に寄せていただいていることの現れだと感謝をしております。
 反面、困ったことも出てきました。大学病院ではもちろん以前から正常分娩も取り扱っていましたが、ご病気をもつ妊婦の方、重症の妊娠高血圧症候群や切迫早産・双胎妊娠など専門的な管理が必要な方の分娩を多く取り扱ってきました。県内の診療所や病院から状態の良くない妊婦さんや、赤ちゃんのケアを依頼され、多くの母体搬送(妊婦さんを高次の医療施設へ送ること)を受け入れています。このことにより周産期母子医療センターとして国から認められ、県民の医療に尽くすようにとの命を受けてきました。
 しかし、多くの正常分娩を取り扱うことで産科病棟の満床状態が続き、重症の妊婦さんの搬送を受け入れられなくなってきたのです。分娩がいくつも重なっているような時は緊急の処置まで手が回らないことがあり、やむを得ず県内の他の病院へ回っていただくようお願いせざるを得ないこともあります。今では周産期母子医療センターとしての働きができない状態になってきています。
 県民の皆さんに安心してお産していただけるよう、緊急を要する妊婦さんが他府県の様に路頭に迷わないよう、われわれはいつでも受け入れられる状態をつくりたいと思っています。産婦人科医が少ない、助産師が少ないなど大学病院といえども同じ問題を抱えておりますが、県内からの母体搬送にはなんとか対応したいと思っています。このため若干の分娩予約の調整をせざるを得ないと考えており、県民の皆さんにもご理解をいただきたいと思っています。
 近いうちに県外からの里帰り分娩の他施設への割り振りを行う予定としております。多くの妊婦さんが赤ちゃんとともに笑顔で退院できるよう皆様のご理解をお願い致します。
(毎週土曜号掲載)