外務省で考えた 
口井 隆司(6)  
   
中央官庁で働く自治体職員

 中央官庁に人事交流等で派遣されている自治体職員は私以外にもいます。外務省では全国から現在約30人が派遣されて働いています。厚生労働省では約140人、環境省では約50人など、各省庁で自治体職員が活躍しています。
 派遣された者は雰囲気の違う組織に送り出され、最初はとまどいます。論理や事業の進め方、期限の考え方など、組織ごとに違いがあるのですが、当初はその違いが何なのかを知りません。郷に入って郷に従いたいのですが、最初は郷のルールがわかりません。ですので、努力して業務やルールを早く覚え、相場観がわかるまではがむしゃらに全力をつくすことが必要になります。被派遣者は、しっかり仕事を行いながら、様々な立場や考え方に触れつつ、自己研修を行い、さらに人的つながりの構築や県施策の反映、事業の誘致などにも同時に取り組んでいきます。それらを行うためには、地元自治体のニーズや方向性を知っておく必要があり、派遣元の情報収集や情報共有、意見交換も重要となってきます。
 省庁では大量の書類等情報が毎日回ってきます。その中には派遣元にとって有益な情報がうもれていると思われるのですが、その視点がないと必要な情報をキャッチできません。山東省に関する記事や情報をみつけても、和歌山県が山東省で展開しようとしている事業について知らないとその情報は意識することもなく見過ごされてしまいます。
 さて、同じ公務員の仕事でも、県庁の仕事と中央官庁の仕事では違うことがいくつもあります。国会との関係、予算の仕組み、省庁の専門性と県庁の総合性の違い、ひとつの判断が及ぶ対象者数の違いなど。もちろん、どちらの仕事も重要で、責任を持って遂行しなければならないことにはかわりありません。
 特に外務省では、警察や公務員システムがまだ機能していない、日本との経済格差が大きすぎるなど、それまでは想像すらしていなかった次元の外国との違いに驚かされることがあります。
 一緒になにかを行う場合、相手の立場や状況を尊重することが重要とよく言われます。しかし実際に尊重するためには、必要な情報を事前に収集して知っておくことや、違いがある場合は双方が納得する方法を検討して案を出し、実行する力を持っておくことが必要です。組織として相手を尊重できるように日頃から準備しておく必要があると考えます。(土曜号掲載)