未来栽培 私の農スタイル 農業が一番カッコいい
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高橋洋平さん(22)
            
 「農業が一番カッコいい」。紀の川市北中で米市農園を営む高橋洋平さん(22)は断言する。父の病気を機に「自然」に目覚めた高橋さん。農薬を使わない自然農法と出会い、以来、自然農法、有機と組み合わせながら作物を育てている。一般の農家体験を積極的に受け入れ、国内外問わず多くの人を迎える。「食べ物は自分たちの身体のルーツ。それが生まれてくる時を知って欲しい」。語る口調は常に快活だ。
    
◆ 生産現場に触れるプロジェクト
    
 母の実家が農家で、早くから農業に触れた。紀北農芸高校に進学し、父が切り花をやっていたこともあり、関心は園芸にあった。
 農業に踏み込んだのは高校2年のころ。父が癌になった。良くなってもらおうと、玄米を食べるなど自然療法を取りいれた。同じころ、奈良のフリーマーケットに野菜を売りに行った。その時に隣にいた同年代の茶農家の男性に「うちの畑に遊びに来ないか」と声をかけられた。男性を通じ自然農法を知った。
 高橋さんには疑問があった。学校の授業で、地球環境の汚染、ブラジルなどの砂漠化、アメリカの地下水の汚染…と農業に関連する環境問題がとりあげられた。しかし、その先が教科書にはない。「未来をどこで感じればいいのか」
 自然農法に答えを感じた。自然農法は農作物を命と考える。また、技術の発展ではなく、人間と自然の共存を優先する。「そこには人と食とのつながりがある。食物のルーツを知れば、自分も幸せに安心して暮らせる。これには未来がある」と目が見開かれた。
 図書館で農業の勉強に打ち込んだ。有機、バイオテクノロジーも調べた。「バイオが進めば工場でレタスができる。でも、それでいいのか」。自然農法への信頼を高めていった。

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 現在、自然、有機を組み合わせ作物を育てる。自然農法は、農地を耕さない、草をとらない、肥料を与えない。方法はただ「観察する」「土を育てる」ことだ。
 例えば虫。新芽を食べるヨトウムシ、アブラムシとさまざまいる。しかし、見つけてもすぐ駆除しない。虫から作物や土の状態を読みとる。「肥料が多いとアブラムシがつく。虫はすぐに駆除はしないで、周辺に雑草を育ててカエルを集める方向をとる」。また、土も耕さず、雑草の根を取らず、太陽にさらさない。7年かけ肥料のいらない土に育てる。今は有機と組み合わせ、ダイコン、エンドウマメ、タマネギ、ニンジン、ニンニクを生産するが、「いずれは自然農法だけに」と望む。

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 和棉(わめん)を種まきから収穫、綿にするまで体験する「和棉プロジェクト」はじめ体験農業を受け入れているが、有機や無農薬で農業をしたい人、健康に関心のある人に数日間、就農してもらう農家体験「WWOOF」(ウーフ)も実施する。西欧はじめ中国、香港など海外から来る人も多い。
 ウーフを体験した女性は「栄養士になろうと学校では栄養素などの組み合わせを学んでいますが、食品の偽装問題などがあり、食べ物を作る現場を見たかった。ゴボウには葉がいっぱいあるのを知り、新鮮でした。売り場と違う農作物の姿に触れることができた」と笑顔を浮かべる。農業体験で驚くのは高橋さんも同じだ。「変な話ですが、大人がまいた種と子どもがまいた種では、子どものまいた種の方が育ちがいい。こういうことに触れると、農業はおもしろい!と思う。畑の中でいると自分が生き生きしているのを感じます」
 今(2008年)春、自宅の古民家横に「石窯ピザ屋米市農園」を手作りで開設した。無農薬、有機で作った旬の野菜を自家製天然酵母と、国産の小麦で作った生地にのせる。チーズ、肉など動物性のものは使わず、味噌や醤油を用い、農家が伝えたい野菜の味を伝える。
 「農業に親しみのない人に関心を持ってもらう窓口です。食の安全が話題になっていますが、野菜を作っている現場をみれば、曲がっているとか、少し虫が食っているとか、そういう部分で見なくなる。本当に何が自然で、何が不自然かを考えてもらう、ものさしづくりをしたい」と望む。 
 困難なことは承知だ。だが、それに挑戦しているからこそ自分を「カッコいい」と思える。青春のすべてを未来志向の農業にかけている。

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 今回から、農業で頑張る人々の様々な試みを毎週土曜号で紹介します。