外務省で考えた 
口井 隆司(8)  
   
クール・ジャパン

 マンガや映画等のポップカルチャーには、強力な発信力があります。単なる娯楽にとどまらず、その背景にある国のイメージやブランドを発信しています。米国映画のランボーやロッキーを見て、「正義・強い」といったイメージを持たれた人も多いのではないでしょうか。
 日本も奥深い文化を有する国の1つです。歌舞伎などの伝統芸能や相撲などの伝統的スポーツに加え、最近は音楽、映画、アニメ、マンガ、ファッション、ゲームなどのポップカルチャーが世界的に注目されています。
 10数年前、私が海外旅行をしていた時、エジプトで現地の人から「ハットリくん」や「おしん」という言葉を聞き、南米のテレビで「キャンディキャンディ」を見、インドの下町で地元の子供と「ファミコン」に興じたことがありました。最近では海外でも、日本のドラマや音楽、雑誌などの最新のものを手に入れることができます。カラオケでも新曲が配信されています。
 海外での日本語学習者数は1990年に98万人だったのが2006年に約300万人と3倍に伸びていますが、これらポップカルチャーの影響も日本語学習振興に寄与していると分析されています。
 外務省もこの発信力を活用しようと、昨年国際漫画賞を創設したり、アニメ文化大使を任命したりしています。国際漫画賞は本年度も第2回の募集を行い、46の国と地域から併せて368作品の応募がありました。アニメ文化大使にはドラえもんが任命され、インドで「日本の新大使は漫画のネコ」と新聞記事になるなど、世界的に報道されています。元フランス代表のジダン選手がサッカーを始めるきっかけになったマンガ「キャプテン翼」は、日本がイラクに復興支援の一環として供与した給水車にその絵が描かれています。
 これらの新しい日本文化は世界で高く評価され、「クール・ジャパン」と言われています。
 外交は外務当局だけが行うのではなく、国のブランド力は様々な主体がつくる時代となっています。日本は積極的自己主張を好まない国民性であることや、歴史的な理由などから、一方的な発信は自制してきたところもあったと思いますが、今後はこの文化面での発信のように、自治体や企業と連携して、それらの魅力や日本の価値観等様々なものを積極的に発信することが重要です。そしてそれは和歌山にもあてはまることと考えます。(土曜号掲載)