タイに和歌山の“善意”贈る
プロフットサル選手 中尾隼土さん

            
◇子どもら笑顔で「コップンカップ」
   
 タイのプロフットサルチームRBACで活躍する海南市出身の中尾隼土選手(28)が5月19日、同国の身寄りのない子どもやエイズに苦しむ人たちに服やズボンなどを寄付した。贈った品々は、昨年(2007年)12月に和歌山市でチャリティフットサルイベントを開いた際、参加者から寄付してもらったもの。中尾さんは「手渡した子どもたちの目はキラキラしていました。今後も自分のできることは何かを考え、心の面での援助もしてゆければ」と話している。

 2006年からタイのプロフットサルリーグでプレーしている中尾さん。現地で生活する中で、学校に行けず深夜まで働いたり、エイズで親を失い孤児院で生活したりと、貧富の差が激しい同国で苦しむ子どもたちの現状を目の当たりにした。
 「そんな子どもたちの目には輝きがなかった。彼らのため、フットサルを通じて何かできないか」と考え、昨年12月末、リーグ戦の合間を利用して帰郷。地元和歌山でチャリティフットサルイベントを開催した。教室や大会の参加者に着なくなったスポーツウェアの寄付を呼びかけたところ、服約800着、ズボン約100着、スパイク約10足、タオル、帽子などの小物約50点が集まった。
 その後、タイの友人に寄付先を相談。バンコク中心部から北へ300キロ、車で4時間のところにある町、ロッブリーに親を失った子やエイズ患者が暮らす施設があると聞き、5月19日に訪れた。
 寺院が運営するその施設では、エイズに苦しむ大人120人と子ども80人、親のいない子40人が生活する。中尾さんは和歌山で寄せられた品を一人ひとりに手渡した。もらった子どもたちは「コップンカップ(ありがとう)」と手を合わせ、施設の主任からは「訪問の連絡があったのが前日でちょっと驚きましたが、心からうれしい」との言葉をもらった。
 施設内にはエイズに関する資料館があり、中にはエイズで亡くなった人の遺体が生々しく展示されていた。「ショーケースにも入れられず、そのままのものもありました…」。大きな衝撃を受けた。
 中尾さんは「タイにはエイズが多いことや患者が暮らす施設があることは聞いていましたが、実際に見たのは初めてでした。今回、服など物という形で寄付しましたが、一緒にボールを蹴るなど、記憶に残ることもできるはず。心を豊かにできる活動もしてゆきたい」と思い描いている。

写真=一人ひとりに笑顔で手渡す中尾さん(左)