船上競り 長年の歴史に幕
加太漁協 陸上施設で収入安定図る

            
 全国でも珍しい加太漁港の「船上競り」が7月31日、長年の歴史に幕を下ろした。船上で直接仲買人が魚を見定めるもので、港町加太の活気を象徴する競りだったが、陸上に新たな施設が完成したため加太漁業協同組合が廃止を決めた。同組合の茨木信明さん(61)は「競りの順番を待つ船が港からずらりと海上に並んでいた光景が懐かしい」と振り返る。
 同組合には漁師約200人が加盟しており、タイやタコを中心に水揚げを行っている。
 船上競りの歴史は古く、昭和初期まで仲買人が沖合の漁船に出向き、船上で直接買い付けていた。1980年前後に港から約10メートルの海上に浮き小屋を設け、船体を2隻ずつ横付けし仲買人に魚を見せる方法をとり始めた。陸上施設に魚を移してから仲買人が値踏みするより時間が短縮できたが、低い水温を保てない船上で魚が死んでしまうこともあり、買い手が付かないこともあった。
 同組合が5年程前に陸上のいけすを設けてから、船上、陸上の両方で競りを行っていたが、陸上での取り引きの割合が増加。水温管理ができる新たな畜養施設が8月から導入されるのを機に、船上競りを終了した。
 40年以上、加太で魚を仕入れる坂東重信さん(63)は「船上競りの方が鮮度が良い。昔は次から次へと船で競りをして活気があったが、今は子どもたちの魚離れが影響してか需要も減って残念」と寂しそう。茨木さんは「原油高で厳しい状況にあるが、陸上施設に移行することで収入の安定を図りたい」と話していた。

写真=仲買人が船上で買い付ける「船上競り」は加太の名物だった