城下町の風景 〜カラーでよむ『紀伊国名所図会』〜
   
画=岩瀬広隆、彩色=わかやま絵本の会・芝田浩子
    
行き交う船 にぎわう河岸 (1)京橋御門の外

 上の絵は、和歌山市の中心部を流れる市堀川(内川)沿いの約160年前の風景です。京橋は木造で、和歌山城の正面入り口に架かっています。橋を南へ渡った三の丸側には京橋御門があり、そこから一般の人は入れませんでした。門の両側には高さ7メートル、幅約33メートルの土塁という防御施設が内川に沿って築かれていました。お城は堀と土塁で二重に護られていたのです。今は門も土塁もなく、店やビルが建ち並んでいます。
 京橋の北詰には、黒い板張りの火の見櫓と番所がみえます。内川は幅が約36メートルと今より広く、荷物を積んだ船が行き交っています。北岸の納屋河岸では毎朝、米市がたち荷揚げをする人々でにぎわっています。その後には蔵屋敷が建ち並んでいます。内川は、輸送の大動脈だったのです。
 『紀伊国名所図会』は江戸時代後期に和歌山の風景や風俗を絵図と解説で記した地誌書です。和歌山城下町周辺は約60枚の精密なスケッチがあります。今回からそのうち20枚を彩色し、風景を読んでいきます。
    (和歌山市立博物館学芸員・額田雅裕、土曜号掲載)