県営施設見直しに戸惑いの声
行財政改革で全施設を検討

            
 和歌山県の行財政改革で進む県営施設の見直しに、一部施設の管理団体から戸惑いの声があがっている。見直しの対象は、県直営施設とその約半数を占める指定管理者制度を導入した施設で、民間への譲渡や売却を視野に入れている。大半の管理団体は静観しているが、県NPOサポートセンターを管理するわかやまNPOセンターは、存続を求める署名活動を実施。「廃止の対象に選ばれる前に、できるだけ早い段階で県民の声を知事に届けようと実施した」と話している。
    
存続求め署名活動も
    
 和歌山県内にある県営施設は県民文化会館や紀北青少年の家、県立体育館など82カ所。うち約40カ所は、06年に導入された指定管理者制度で、企業や団体が管理運営を担い、施設の利便性や魅力アップに努めている。
 一方、県は同年に厳しい財政状況から行政経営改革室を設置し、事業見直しや人件費削減などに着手。今年(2008年)3月に策定した「新行財政改革推進プラン」には全県営施設の見直しを盛り込み、各課室の職員で構成する行財政改革推進本部が検討を始めている。
 見直しについては、具体的な施設名が挙がっていない中、検討が進んでいることを知らない団体も多い。県青少年活動センターを管理する県青少年育成協会は「連絡がないので事態をもう少し見守る」。紀三井寺公園を管理するはまゆうグループも「老朽化が進んだ建物もあるが、民間管理で機能が上がっている。情報が入ってから検討したい」と静観している。
 一方、廃止決定前に施設の必要性をアピールしようと、和歌山市手平のビッグ愛にある県NPOサポートセンターの指定管理者、わかやまNPOセンターは存続を求める署名活動に乗りだした。
 同サポートセンターは、約280ある県内のNPOに法人設立に関する手続きや企画書の作成法を指導したり、イベントPRの協力、会議室の提供など活動を支援している。昨年までの2年間で約1400件の相談を受け、昨年1年間で約9000人が利用した。
 署名は、7月15日からの1週間で、約330団体、6700人に及んだ。NPO法人や各種団体、組合や企業からも署名は寄せられ、同センターは「『地域づくり』という観点で1つの拠点としての期待を多分野から寄せられていると実感した」と手応えを感じている。7月23日には同センターの豊田泰史理事長らが仁坂吉伸知事に署名を手渡した。仁坂知事は「県の財政状況は厳しいが、県NPOサポートセンターの実績は評価している」と話した。
 わかやまNPOセンターは「廃止決定後では手遅れなのに、県民生活に身近な話を県庁職員だけで進めているのが不安。主体的な市民を育てるのも行政の役割のひとつ」と話す。サポートセンターの指定管理者の期限は今年度いっぱいまで。来年度以降の管理者を募集する秋には、施設の存廃が決められる見通しだ。
 県行政経営改革室は「全施設を平等に検証し始めたばかり。五年間のプランの中で、必要性や費用対効果や地域のニーズを照らし合わせ検討を進めたい」と話している。
 和歌山大学の堀内秀雄教授は「県財政が厳しい中、施設の見直しを行うのは当然だが、施設の管理者や利用者の声を聞くことも大切。長期総合計画に『県民との協働』をうたっているように、指定管理を導入して成果をあげた協働発展のシンボルを廃止するようなことがあれば、知事の政策に反している」とみている。

写真=年間約9000人が訪れる県NPOサポートセンター