射撃 大橋健次選手 集中力高め いざ北京
2度目のパラリンピックに挑む

            
 障害者スポーツのアスリートたちが集う“もうひとつのオリンピック”パラリンピックが9月6日(土)、北京を舞台に開幕する。射撃競技に出場する和歌山市の大橋健次選手(55)は前回のアテネに続き2度目の挑戦。「自分に負けず、いいところが最大限出せるように落ち着いて臨みたい」。的を狙う鋭い目は、まっすぐに北京を見つめている。
    
 生まれつき右足に障害があり、18歳の時、膝から下に義足をつけた。17歳からアーチェリーを始め、的を狙う共通点から、ヒントにするつもりで20歳で免許を取り射撃を始めた。練習するうちコンスタントに点が取れるようになり、面白さにのめり込んだ。
 本格的に射撃競技を始めたのは30歳の時。国内では健常者の大会で優勝経験もあり、国際大会の舞台も何度も踏んでいる。「真ん中に当たった時は何とも言えない快感。続けて当たると『あとちょっとで100点』とふと考えたり。すると、とたんに当たらなくなる。辛抱して集中する。欲を持ったらダメですね」
 前回、アテネパラリンピックに初めて出場した。感じたのは、それまでに味わったことのない大会の“空気”だった。「遠征などで会ったことがある海外の選手もいたが、雰囲気が全く違った」。選手たちの大会にかける思いの深さを感じ、「果たして自分はどうだろう」と振り返った。大会に参加することで、やる気や気持ちの持ち方に変化が芽生えた。
 初出場のアテネは予選敗退。「的への当たり方は悪くなかった。だからよけいに『あと少し』との悔しさが残った」。さらに、グリップを握る手から違和感が消えなかった。大会後、原因を探った。握り方やグリップに当たる指の骨の位置を変え、グリップ自体をヤスリで磨くなど微調整。「メンタルがそのまま響くスポーツ」と、イメージトレーニングなども行い、練習を重ねるうち、記録が伸びた。一気に最高点もマークした。
 北京では、アテネと同じく10メートルエアピストル(AP)と50メートルフリーピストル(FP)の2種目に出場する。それぞれ10メートルと50メートル先の標的をねらい、規定時間内に各60発を射撃し、その合計点数を競う。世界各国から、トップレベルの選手が参加し、しのぎを削る。「人よりいい点を取り、上位を目指したい。しかし射撃は相手と組み、作戦を立てる競技ではない。ただ真ん中をねらい、1人で点を重ねていく。孤独と自分との戦いです」
 個人コーチはいない。週1回、練習場に通うほか、「義足じゃない方の足の膝に長年の負担が積み重なり、全体の筋肉のバランスが悪くなって来た。すり減った軟骨をカバーするには筋力を鍛えるしかない」と毎日仕事帰りに、200段ある寺の階段を上り下りしたり、目を閉じ片足で立ったりしてトレーニングしている。練習メニューは自分なりに工夫し、実践している。
 最近、障害者の社会参加について今まで以上に考えるようになった。「自分がパラリンピックに参加することで、スポーツを通じて、障害者のみなさんの励みに少しでもなれれば」と微笑む。
 「試合前に、自信につながるイメージがつかめれば、怖いものはなくなる」・・・。集中力を高め、大橋さんは北京へ向かう。

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 大橋選手が出場する10メートルAPは9月7日(日)、50メートルFPは9月12日(金)に実施する。

写真=的を見つめ、集中する大橋選手(県ライフル射撃場で)