「和歌山県展」改革案に渦巻く賛否

            
 戦後間もなく始まり、今年(2008年)で第62回を迎える和歌山県美術展覧会「和歌山県展」。和歌山県は「より多くのアーチストと県民が参加できるように」と同展の改革案を作成し、一般からの意見を求めている。改革案では会場を県民文化会館から県立近代美術館へと移すのをはじめ、応募分野や審査体制の見直しを打ち出した。これに県美術家協会は「県は『すべてのアーチストに門戸を開く』としているが、改革案では部門が減り、逆に幅を狭くしている。改革案で実施すると県展は潰れる」と強く反発。作家、関係者は賛否に分かれ、波紋を広げている。
    
和歌山県・・・・・・応募分野や審査体制見直し
美術家協会 ・・・・・「一方的」と反発
   
 県展は1947年に第1回を開催。62回目の今年は9月18日(木)から4期に分け10月13日(月)まで開かれる。95年から、県、県美術家協会などでつくる実行委員会が主催。61回は795点の応募があり、602点が入選。過去の入選歴で無審査で出品できる招待作家作品を合わせ913点が展示された。同回の運営費は1210万円で、県が約620万円を負担、その他は出品料、招待作家からの協賛、地方展開催自治体の予算をあてた。
 県は昨年度から、県展の内容や運営方法に関する意見を受け、改革に向け取り組みを始めた。「公的機関が行う公募展としての原点」に戻って案を作り、県民から意見の募集に乗り出した。
 改革案では、会場を現在の県民文化会館から県立近代美術館に変更。分野は「洋画、日本画、書、写真、工芸、彫塑、華道」の7部門を「絵画、写真、書、立体造形」の4つにし、応募者数の少ない華道部門は廃止する。応募資格の年齢制限も外す。
 改革案の柱は審査体制の見直しだ。これまで県美術家協会の会員が審査を担い、昨年は審査員62人中60人が県内作家だった。また、過去5年間の平均入選率は74・2%ながら、洋画部門以外では100%に達するなど高い入選率が続き、審査への疑問の声があった。
 改革案では、審査員に全国、世界レベルで活躍する作家や評論家を招き、県内審査員(1部門1人〜2人)、県外審査員による1部門3人〜5人の審査チームを設置。入選作もこれまでの約600点を、150点から200点と減らし、賞も大賞(1点)、優秀賞(1点)、佳作(10点以内)とし、特選は廃止。また、招待作家制度もなくす方針。
 改革案に対し、県美術家協会の中井由純会長は「反対だ」と言い切る。「県展の主催である実行委員会の議論を経ず、県が単独で改革案を出すのは一方的すぎる」と批判する。「県展は作品の幅が広く、審査もオープンで、長い目で作家を育てるシステムになっている。審査員を少なくするというが、作品は多くの審査員の目に触れた方がいい。また、招待作家制度をなくすのは、これまで県展を支えてきた人への処遇として問題がある。招待作家をめざし、頑張っている人からも目標を奪う」と指摘する。
 同協会の作家たちの見方は様々だ。ある会員は「審査員が何十年も同じなのは改める必要があると以前から感じていた」と改革の一面を評価する。しかし、「入選作が減るのは良くない。レベルが上がりすぎると、県展を目標にする人たちの手の届かない公募展になる。和歌山で美術を志す人が育つよう間口は広くしておくべき」と訴える。
 一方、別の会員は「招待作家にはかつての受賞にあぐらをかいた作品を出している人もいる。過去の受賞歴を白紙にし、この際、振り出しに戻せば、もっといい作品が出てくるのでは」と現状に厳しい。また、美術普及活動をする市民は「県展は作品に偏りを感じる。公募展は、有名な審査員に講評を聞いてみたいと応募するもの。アートの世界に新しい風を吹き込める人が出てこれる県展に変わって欲しい」と期待している。
 県文化国際課は「多彩な人がこれまで以上に参加できる制度的な仕組みを考えた。案に多くの県民から意見が欲しい」と話す。中井会長は「美術家協会として意見をまとめ、実行委員会で議論する必要がある」としきり直しを求めている。

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 県展の改革案は、インターネットで「和歌山県美術展覧会県展の改革案のポイント」で検索するか、県文化国際課、県庁情報公開コーナーで閲覧できる。意見は同課にFAX(073・433・1192)、メール(e0221001@pref.wakayama.lg.jp)で。9月12日まで受け付ける。意見はまとめ県のホームページで回答する。口頭、匿名での意見は受け付けない。公表時は名前は出さない。問い合わせは同課(同441・2052)。

写真=県展写真部門の審査風景