城下町の風景 〜カラーでよむ『紀伊国名所図会』〜
   
画=岩瀬広隆、彩色=わかやま絵本の会・芝田浩子
    
牛の舌餅を投げる祭の風景 (11)蛭子神社の祭日

 蛭子神社は、小野町二丁目にある水門吹上神社のことです。「湊えびす」の名で人々に親しまれ、1月9日から11日の十日戎には大勢の参拝者があり屋台店が出てにぎわいます。同社は、かつて紀の川河口の和田浦鵜ノ島(現在の御膳松付近)にありました。『紀伊国名所図会』初編の「湊河口」の絵には外浜に旧社地がえがかれています。その付近は明応7年(1498)の地震・津波で大きな被害を受けたため、現在地へ移ってきたといわれています。
 上の絵は、約160年前の11月23日の同社の祭日に行われた、牛の舌餅投げの風景です。屋根の上から餅を投げると、下で待ち構えていた人たちが争って受け取ったり拾ったりしました。牛の舌餅という絵のような大きなのし餅を投げると人々は奪い合ってちぎれちぎれになっています。餅投げは、一時は中断されていましたが、現在はまた復活して11月23日の新嘗祭の日に行われています。(和歌山市立博物館主任学芸員額田雅裕)

土曜号掲載