|
|
|||
|
|||
|
紀州徳川家が保護し、戦前まで小学校の授業で必修科目として指導されていた岩倉流泳法。1710年から受け継がれ今年300周年を迎えた。御三家の歴史と文化を今、体感しようと岩倉流の門をたたき、華やかな団体泳法「花傘行列」をマスターすべく、プールへ飛び込んだ。 (林祐司)
|
|||
|
|
|||
「まず平泳ぎを見せて下さい」。水泳教室に通ったことがない筆者。自分の泳ぎが正しいのか不安ながら25メートルを泳ぐ。「身体が左右対称に動かせていてきれいですね」とお褒めの言葉。小さいころに父が海や川に連れて行ってくれたのが良かったようだ。 続いて、花傘行列に欠かせない立ち泳ぎへ。曲げた両足の膝から下を時計回りに回し、水をなでるように手を動かすことで浮力を得る。那須さんの手本を見ると上体は安定したまま見事に浮いている。早速挑戦するも慣れない足の動きに思うように動かせない。那須さんの足は水中で高速回転しており、隣の筆者にまで水の勢いが伝わってくる。よーし、自宅の風呂でトレーニングしておこう。 |
|||
子どもたちとの共演の日。練習を思い出してプールへ。まず、平泳ぎの足とクロールのような手の動きで水をかく「抜手」に挑戦。手足のリズムがなかなかつかめず、子どもたちから「顔をまっすぐ」「腕を伸ばして」とアドバイスをもらいながらもがく。何度か続けると手足を伸ばすタイミングがわかり、リズムよく泳げるようになった。 続いて立ち泳ぎ。合図に合わせ、その場で回転する。初めはうまくできたが長時間続けると足が疲れ、リズムが狂ってくる。しかも姿勢が悪いのか後ろへと進んでしまう。聞くと子どもたちは、長くて3分間続けられるそうだ。写真左=泳ぎのコツを伝授された |
|||
傘を手に、列になって泳ぎ、それぞれの位置に着くと立ち泳ぎで、合図に合わせて傘を濡らさないよう片手の水を払い傘を開く。その間、両足だけで浮き続けるのだが、どんどん沈む…。体勢を崩したまま、傘を中心にその場で2周する場面になると思うように泳げず、子どもたちが傘を軸に回る中、一人体を軸に周回遅れで回った。 体力の限界を感じていたところ、那須さんから「水書の用意もありますよ」との声。半紙を貼り付けた板と墨を含ませた筆を手に、立ち泳ぎで文字を書く技だ。疲れもあったが「できたら面白いかも」と挑戦。子どもたちは上体が安定し、丁寧に文字を書いているが、筆者には余裕がなく、素早く筆を走らせ「年」の字を書いた。案の定、一番下手で、子どもたちから失笑が…。 それでも一緒に花傘行列をしてくれた吉岡杏樹さん(中1)は「初挑戦で水書に挑戦してすごいですね」とうれしいお言葉。一方、南美妃さん(高1)は「まだまだですね。きれいな泳ぎができると自分自身もきれいに見えるので、ビデオで泳ぎを確かめています」と魅力を語ってくれた。最後に那須さんから「初めてにしては泳げる方でした。平泳ぎだけでなく、立ち泳ぎもできるようになれば技のバリエーションが増えて楽しくなりますよ」。 |
|||
| 那須さんは「海や川など自然環境を想定した泳ぎなので、泳法を通じ自然とふれあってもらいたい。泳ぐことは目的でなく手段。紀州の文化の一つとして多くの人に親しんでほしい」。また、「生きた文化として人から人へ伝えてゆくのが大切」と語る。 子どもたちのアドバイスや那須さんの指導など、本や映像では伝えきれないものがたくさんあった。人から人へ、文化を直接伝えることを大切にしてきたことが、300年間受け継がれてきた秘訣なのかもしれない。 (11月28日・下津室内プールにて) ※ニュース和歌山2010年1月1日号掲載 |
|||
|
|