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2010年の干支とらが主役の創作童話コンクール
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| 昔、トラにはしま模様がありませんでした。ライオンのように模様がなく、メスライオンによくまちがえられました。それは、トラにとってとてもイヤな事でした。 ある日、トラはお腹がすいてきたので、かりに出かけました。そして、しまうまをつかまえました。ガブッと食べそうになった時、しまうまが、「良いことを教えてあげるから食べないで」と言いました。でもトラは、あまりにもお腹がすいていたので、「すごい良い話じゃないと食べちゃうぞ」と言いました。するとしまうまがあせって、「体に何も模様がないの、イヤなんだろ。体にぼくみたいなしま模様が出来る良い方法を教えてあげるよ」 その言葉にトラは、耳をピンッとたてました。なぜかというとトラは、いつもしまうまのしま模様にあこがれていたからです。「食べないから、教えてくれ」とつかまえていたしまうまをはなしました。しまうまは、またつかまえられたら大変だと思いあわてて話し始めました。 「山の向こうにスイカ畑があるんだ。そこで、スイカの皮を食べるんだ。なるべくきれいなしま模様のスイカを。でもスイカの実を食べてしまうと、スイカの種の水玉模様になってしまうから注意するんだよ。ひょう君を知っているだろう。ひょう君にも同じことを教えてあげたんだけど、スイカの実を食べてしまって水玉模様になったんだ。でもひょう君は気に入っているみたいだけど。とにかく、ぼくのようにりっぱなしま模様になりたかったら、実を食べるんじゃないよ」 しまうまは、話し終わるとすぐにトラの前から姿を消しました。そしてトラは、早速山の向こうに出かけて行きました。 しばらく歩いていくと、トラは道がわからなくなってしまいました。「どうしよう」。トラは困ってしまいました。でもその時、トラは考えました。「そうだ。スイカを好きなものにスイカ畑を案内してもらおう。誰だったかな。……あっ、カブトムシ君がいるんだ。でもカブトムシ君は夜に活動するから夜になるのを待とう」 トラは木のそばで、カブトムシ君が来るのを待っていました。日が暮れると、カブトムシ君がたくさん飛んで来ました。その中の一匹が、「やあ。トラ君、どうしたの」と言って、木にとまりました。 「スイカをさがしていたんだけど、道に迷っちゃって。だからスイカの好きなカブトムシ君にスイカ畑の場所へいっしょに行ってもらおうと思って」と、トラが言うとカブトムシは「いいよ。じゃあついてきて」と言って、山の向こうへどんどん飛んで行きました。トラは必死にカブトムシ君の後を追いかけて行きました。 すっかり夜が明けたころ、トラとカブトムシ君はスイカ畑に着きました。トラは喜んで、「カブトムシ君、ありがとう」とお礼を言うと、早速、しま模様のきれいなスイカを見つけ出しました。でもこの時トラは、しまうまを食べそこなった上に、走りすぎてのどがカラカラにかわいていました。トラは、甘いスイカの実を食べたくてたまりません。 しかし、ひょうのように水玉模様にはなりたくなかったので、ぐっとがまんをし、実の部分をカブトムシ君にあげて皮だけをパクッと食べました。するとどうでしょう。無じで地味だったトラがどんどんしまうまのようにしま模様になっていきました。 「うわぁ。すごいよ、トラ君。しま模様になっている。トラ君だから、トラ模様だね」とカブトムシ君が全身スイカまみれになって言いました。トラはうれしくなって、川のほとりに行き、水面に自分の姿をうつしました。その姿にトラは大満足でしまうまに感謝するばかりでした。そして、二度としまうまを食べないとちかうのでした。 ……さて、トラは今でもしまうまを食べないかどうかはわかりませんが、今ではしまうまにまけないくらいりっぱなしま模様です。 |
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| 漫画家、いわみせいじ審査員(「和歌山さんちのハッサクくん」作者)のコメント…民話っぽくて、非常によくできたお話です。主役が今年の干支のトラである必要性があり、「しま模様」というキーワードをうまく生かして物語を作っています。 ※ニュース和歌山2010年1月9日号掲載 |
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